日銀・黒田総裁会見1月21日(全文3完)デフレが長引くと容易に脱却できない
今、副作用はどう現れているのか
朝日新聞:すいません。朝日新聞の寺西ですけれども、マイナス金利の件でもう一度伺いたいんですけど、ちょうど4年前、2016年の1月末に、今ごろ、マイナス金利の導入を決められて、来月の半ばで丸4年ということになると思うんですけども、総裁が先ほど政策の効果がコストを上回っていると考えられているとおっしゃっていましたけれども、いわゆるコスト、副作用について、金融機関の収益の悪化とか、日本ではそれが今メインでいわれているかと思うんですけれども、今、副作用といった場合、総裁として気に掛けられているポイントを今、どういう副作用が実際に見られていて、金融機能の仲介機能というのをよくおっしゃっていますけれども、それはどういう事態のことを言うのかと、損なわれていないというのはですね。それをちょっと詳しくご説明いただけますでしょうか。 黒田:これはいろんな政策委員会でも、それから金融システムレポートなどでも指摘しておりますけれども、一方で、低金利が長く続いた場合に金融面で行き過ぎが起こらないかと、資産価格が行き過ぎた上昇を示すとか、特定のセクターへ資金が集中し過ぎるとか、行き過ぎはないかという面と、他方で金利が低い状況で利鞘も縮小するっていうことを通じて金融機関の収益がだんだん低下していって、その結果、赤字になる金融機関も出てきて、資本を蚕食するということになってくると、貸し出し、その他、金融仲介機能が損なわれる恐れがある。
金融の行き過ぎは見当たらない
ですから行き過ぎになる可能性と、仲介機能が損なわれて貸し出しが減ってしまうとか、そういった状況っていうことだと思いますけれども、ご案内のとおり、金融システムレポートでも半年ごとに示しておりますとおり、金融の行き過ぎというのは見当たらないと。他方で金融仲介機能はどうかっていうと、金融機関の貸し出しは2%台半ばで推移しておりまして、これはご承知のように量的・質的金融緩和導入前のようにデフレの中で金融仲介機能が十分発揮されていなかったというときと比べますと、ある意味で順調に金融機関の貸し出しっていうのは伸びているということで、金融仲介機能が今の時点で損なわれるような状態にはなっていないと思いますので、金融緩和が長く続いたときの金融システムに対する影響という意味での副作用っていう点では、今のところ大きな副作用が起こっているようには考えていません。それはマイナス金利も含めてそういうふうに。 だから、別にスウェーデンのことをどうこう言うわけではありませんが、ご承知のようにスウェーデンはかなり長くマイナス0.5%のマイナス金利を掛けていて、それを半分にしてマイナス0.25%。マイナス0.5%からマイナス0.25%として、今回0にしたわけですけれども、わが国の場合はマイナス0.1%のマイナス金利を日銀の当座預金のごく一部に掛けているわけでして、金融機関の収益に対して直接的に非常に大きなマイナスにならないように注意しながら運営しているということであります。 幹事社:すいません、幹事社なんですが、45分が間もなく過ぎるんですが、あと1問。