日銀・黒田総裁会見1月21日(全文3完)デフレが長引くと容易に脱却できない
米国株価にバブル的要素はないか?
日経CNBC:日経CNBCの直居でございます。2点ございます。今の方の質問にちょっと関連するんですけども、金融政策の世界的な状況と資産価格についてです。アメリカの株価が過去最高値圏で推移しているんですけども、平均株価、今日は下がってますけれども、昨年来の高値圏と。人によっては企業収益は、いまひとつ伸び悩んでいる中での株価の状況ということなので、そこに心配はないか、バブル的な要素がないかという危惧もなくはないと思うんですが、この点についてどんなふうにお考えでしょうか。 黒田:少なくともわが国の株価については、企業収益の増加に応じて株価が上がってきたという面が非常に大きいわけですので、そういった面からは特に心配はしておりませんが、いずれにせよ資産市場の動向については今後とも行き過ぎがないかどうかはちゃんと注視していくと。外国の株価についてはあまりコメントするのは適切でないと思いますので、差し控えます。
金融政策の枠組み見直しは必要か
日経CNBC:もう1点、すいません。これも先ほどの方と少し関連しますけど、金融政策の枠組みの見直し議論という話です。アメリカのFRBは6月までに枠組みの見直し、何かまとめるというふうに【*****00:38:52】。インフレ目標とか、政策手段とか、あるいはコミュニケーション。ECBも今年1年掛けて着手すると。こういった海外の主要な中銀の動きがどんなふうに見えるか。そして日銀もこういうことが必要になってくるのでしょうか。 黒田:ご指摘のようなことが、今議論になっていることは事実なんですけれども、それぞれの国の経済・物価・金融情勢に応じて金融政策の議論が行われるわけですので、米国の場合はなんといっても、先進国の中で一番進んでいるわけでして、経済の成長も好調ですし、物価上昇率もいわゆる消費のデフレーターで見るとまだ2%に達していませんが、ご承知のように消費者物価指数、CPIがもう2%に達しているわけですし、賃金も3%以上上昇していますし、そういった中で、このいわば正常化が進んだ中で、今後の金融政策の枠組みを議論ということであろうと思っています。ECBの場合はまだそこまでいってないとは思うんですけども、さまざまな国々を抱えているユーロ圏ですので、いろんな議論をしようということだと思います。 残念ながらわが国の場合はまだ、コアの消費者物価上昇率が0.6%とかそういった段階で2%にまだ遠いわけですので、実体経済の状況は適切な成長は続いてはいるし、雇用情勢も極めてタイトになっているわけですけれども、それに比べて若干、賃金の上昇が弱いと。そして物価がまだ0.6%ぐらいっていうことですので、今の段階で何か金融政策の枠組みを変更すると、そのための見直しを行うっていうのは時期尚早じゃないかなというふうに思っております。