「EVは必ずしも良い選択ではない」 フォードが電動化戦略を修正、ハイブリッドに注力
不透明なスペイン工場の将来
フォードは現行型クーガの生産終了後のバレンシア工場の将来について完全には明らかにしていないが、同工場でのEV生産計画を見直し、少なくとも部分的にはエンジンを動力源とするモデルを優先させるとしている。 「純粋なエンジン車であろうと、純粋なバッテリーEVであろうと、あるいはその中間のハイブリッド車であろうと、当社は積極的に競争していくつもりです。なぜならお客様は自分のユースケースに適したパワートレインと車両を選ぶ自由を求めているからです」 「バレンシア工場には何かを持ち込むつもりですが、それが何になるかはまだ決めていません。まだ検討中です。マルチエネルギーになると思います。それがわたし達の現在の考えであり、欧州市場や当社の導入状況を考慮すると、それが最も成功する可能性が高いからです」 スペインの産業省によると、この新プラットフォームを採用したモデル(サイズや形状は未定)の生産は2027年に開始される予定で、年間生産台数は最大30万台と予測されている。フォードは、2026年頃に登場すると予想される新型クーガを同工場で生産する可能性がある。 フォードは2022年、欧州経済の見通しが修正されたことを理由にバレンシア工場への大規模な投資を延期した。代わりにドイツ・ケルンの工場の全面的な改修を優先し、エクスプローラーとカプリのEVを生産できるようにした。 最近ではバレンシア工場で大幅な人員削減を行い、昨年は1100人の人員削減を発表した。今年5月にはさらに1600人を削減する計画を明らかにしたが、2027年からの増産見込みに合わせて1000人を復職させる可能性も示唆されている。 EVを取り巻く法律や規制の枠組みと実際の需要がいつ一致するのかが不明確なため、今日の市場環境の中で投資戦略を固めるのは困難だとギャジャ氏は言う。 「投資は些細なことではないので、わたし達メーカー全員にとって難しいことです。しかし、今現在は、どのように展開していくのかという不確実性に根本的に対処しながら、これらの分野に投資する必要があると感じています」 とはいえ、ギャジャ氏は「最終的には高度に電動化された車両になるでしょうし、バッテリーのコストとエネルギー密度を適切化することができれば、最終的には完全に電動化されるかもしれません」と自信を見せる。 しかし、彼はこうも言う。「それは10年先なのか、30年先なのか。誰の水晶玉でも、それを言い当てることは難しいと思います」
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)