アジアIPO市場に回復の兆し、香港で上場活発化-日本やインドでも
(ブルームバーグ): アジアのバンカーは、ここ数年低迷していた新規株式公開(IPO)の回復の兆しを目にしつつある。
ハンセン指数が2019年以来初めて年間ベースで上昇に向かう中、香港上場を検討する中国企業の数は増えている。インドでは今年、株式発行による資金調達額が既に記録的水準となっており、日本の株式市場も大型案件に活気づいている。
中国政府が本土の取引所でのIPO件数を抑制していることもあり、今年のアジア全体の株式発行額は23年の水準を下回る可能性があるが、香港市場の回復に伴い来年には改善が見られる公算が大きいとディールメーカーは楽観視している。
香港IPOによる資金調達額は今年に入り約90億ドル(約1兆4000億円)に達している。23年は56億ドルと、01年以来の低水準だった。中国政府の景気刺激策を追い風に、ハンセン指数は年初来で20%近く上昇。この4年間は年平均で12%下落していた。
モルガン・スタンレーのアジア太平洋株式資本市場責任者キャシー・チャン氏は、中国政府がデフレ対策に積極的に取り組んでいることが最近の刺激策で示されており、中国は世界の投資家から再び注目を集めていると語った。
中国家電大手の美的集団(ミデア・グループ)は9月の香港上場で46億ドルを調達。21年初め以来の大型上場となった。次いで、自動運転技術を手がける中国のホライズン・ロボティクス(地平線机器人)が6億9600万ドル規模のIPOを実施。中国の飲料メーカー、華潤飲料(控股)のIPOはそれよりやや小規模だった。いずれも香港市場に対する企業の信頼が回復しつつある兆しだ。
ただ、前途にはリスクが待ち構えている。香港の株式市場はますます不安定になりつつあり、ハンセン指数の過去50日間の変動率は23年1月以来の高水準に達した。ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス返り咲きで、米中間の対立がさらに悪化する恐れもある。
中国の規制当局の締め付けが、一部の中国企業が取引を行う上で新たな障害となる可能性もある。