「投資先の分散?とっくにやってるけど…」余裕こいてる人が忘れがちな「もう1つのリスクヘッジ」とは
もう1点、長期運用だとしても、数日に分けて買うことが望ましいとの評価もありえる。もっとも、短期間において株価はランダムに動いていたとしても、長期運用のスタンスから見た場合、株価のランダムな動きを気にする必要性に乏しいと考える。 「この企業が長期運用にふさわしい」と判断したのなら、また株価の動きに異常がないことを確認したのなら、すぐさま買いを入れるべきだろう。時間分散は優柔不断に通じるから、投資チャンスを逃しかねない。株式市場の格言にあるように、「株価変動にともなうアヤというか尻尾は、ネコかイヌにでもくれてやればいい」とのおおらかさが重要である。 では、積立方式はどうなのか。 たとえば給料日に合わせて株式を少額で購入する場合、形のうえでは時間分散投資になっている。とはいえ長期運用の観点からは、積立方式が本来の意味での時間分散かどうか疑わしい。 つまり、「大量の現金を持っていれば、できればこの瞬間に一気に株式購入に充当したいのだが、残念ながら現金がない」、だから積立方式を採用したのである。 以上から、時間分散投資とその効果について、それを過信すべきではないと考える。
● 時間分散投資よりも かしこい通貨分散のすすめ 時間分散投資の効果が頻繁に語られる一方で、ほとんど語られないのが「通貨分散」である。長期資産運用を考える場合、通貨の分散は非常に重要なのに、なぜあまり語られないのか不思議でしかない。真剣に考えるべきは通貨分散である。日本での通貨分散とは、自国通貨である日本円以外の通貨で資産を長期運用の観点から保有することを意味する。 通貨分散といっても、外国通貨での資産であれば何でもいいわけではない。経済が安定し、成長している先進国に限定するのが安全だろう。具体的には、アメリカ、カナダ、通貨ユーロを使用する国、イギリス、北欧、オーストラリア、ニュージーランドなどが主に想定できる。 発展途上国も経済成長という観点から通貨分散の対象としたいのだが、通貨の価値は経済活動だけではなく、政治体制や規制などの影響も受ける。このことから、個人としては先進国に限定するのが望ましい。 次に通貨分散が望ましい理由を考えてみたい。 重要な理由として、経済力の観点を指摘できる。ここでの経済力には成長力を含めている。通貨の価値とは、長期的にはその通貨を発行する国の力を表現している。経済力が強ければ通貨の価値も長期的に上昇していく。