新型ジープ・アベンジャーは“新感覚”だった ちょっとタフなコンパクトSUVとは?
日本に上陸したジープの新型「アベンジャー」に、小川フミオが乗った。日本でジャストサイズな新しいコンパクトSUVに迫る。 【写真を見る】新型アベンジャーの使い勝手をチェック(16枚)
洗練されたドライブ感覚
ジープがどんどん新しくなっているのを、知っているだろうか? 2024年9月に日本でも発売されたジープの新型アベンジャーは、ピュアEV(電気自動車)だ。ボディは日本によく合うコンパクトサイズで、気持ちよく走ってくれる。ほどよい機能主義的なデザインも、多くの人に愛されそうだ。 アベンジャーは、全長4105mmのボディを2560mmのホイールベースをもつシャシーに載せたコンパクトSUV。115kWの最高出力と270Nmの最大トルクをもつ電気モーターで前輪を駆動する。日本向けに急速充電器CHAdeMOが使えるのも特徴だ。 キャビンは既発のジープ「レネゲード」や「チェロキー」の流れを組むもので、「ラングラー」とは対極にあるような、機能主義的。ホイールベースは先述のとおり、欧州のいわゆるBセグメント車のレベルにとどまるが、室内は前後席ともにちゃんとスペースが確保され、荷室容量も355リッターが確保されている。 一方、張り出し感が強調された前後ホイールフレア(ホイールアーチ)や、ジープのアイコンである「7スロットグリル」を踏襲しつつも、あたらしい意匠のLEDヘッドランプが、力強さを強調。エモーショナルな要素もしっかり採り入れられている。 操縦した印象は、期待以上に力強い。発進から高速の制限速度まで、トルクの落ち込みなく、一気に加速していく感覚だ。それでいて、かつてのEVのようにいたずらにトルク感を強調していない。洗練されたドライブ感覚だ。 操舵感覚は、かなり軽い。でも同時に復元力が強いので、切りすぎるようなこともなく、速度が上がっていっても不安はない。ステアリングホイールの中立位置をキープする設定なので、直進安定性の高さが感じられる。 同時に足まわりの設定は、乗用車的に、路面からのショックを吸収して、同時にボディの揺れはしっかり抑える、乗用車的ともいえるもの。 ジープのラインナップにおける上級グレードのエンジン車は、サスペンションのストローク感があって車体がゆっさゆっさと揺れる……と、乗用車とは違うと感じさせる運転感覚があるが、アベンジャーはよりスムーズで、ことフィーリングについてはジープとは思えない。 シャシーは、プジョー「2008」やフィアット「600e」と基本的に共用。バッテリーも、600eと同スペックスの54kWhで、アベンジャーは一充電あたり486km走る。600eは493kmとされているので、ちょっと差があるが、これはいってみれば誤差の範囲だ。