「オグリキャップは燃え尽きてしまったのか」17万人超の観衆、歩くことも困難で…“伝説の有馬記念”の異様な雰囲気「馬券オヤジも野次を飛ばさず…」
「こんなことが本当に…」奇跡のラストラン
2走前の天皇賞・秋で6着となり、キャリア30戦目にして初めて掲示板を外した。そして前走のジャパンカップでは11着に惨敗。 これほど極度の不振にあえいでいたのに、オグリキャップのラストランは価値ある一戦になってほしい――という人々の願いが、単勝5.5倍の4番人気という数字になっていた。 私もそう願ったひとりだった。 オグリは見事な走りで私たちの願いに応えた。スローな流れのなか好位で折り合い、4コーナーで外から先頭に並びかけ、鋭く伸びて優勝。鮮やかに有終の美を飾った。 中山競馬場に、「オグリコール」と「ユタカコール」が響いた。 なお、2着メジロライアン、3着ホワイトストーンというのは、「ナカノコール」の日本ダービーと同じだった。 何度振り返っても、「こんなことが本当にあったんだなあ」とつくづく思う「奇跡のラストラン」だった。まさに夢のようなグランプリで、文字どおりのドリームレースであった。
(「沸騰! 日本サラブ列島」島田明宏 = 文)
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