日本生まれのホップ「ソラチエース」 米国で再発見→世界で評価→日本凱旋 誕生40周年祝いイベント
80年代に北海道で生まれて以来、数奇な運命をたどり世界的人気を獲得した伝説のホップ「ソラチエース」。サッポロビールとキリンビールは、その誕生40周年を祝う「SORACHI BEEA GARDEN」を9月7、8の両日、羽田エアポートガーデンで共同開催した。 北海道空知郡の地名にちなんで名づけられたソラチエースは、サッポロビールが1984年に品種登録したホップ。ヒノキ、レモングラスのような個性的な香りが持ち味だ。 94年には米国に渡るも、当初は日の目を見ず苦難の日々。02年に米国のホップ農家ダレン・ガメシュ氏に見いだされたことでついに脚光を浴び、後にこれを使用したビールが現地で発売される。さらに日本でも木内酒造が商品化し、10年代には欧州にも評判が伝播。19年には「サッポロ SORACHI1984」、キリンが出資するブルックリンブルワリー・ジャパンの「ブルックリンソラチエース」が相次ぎ国内発売され、日本生まれのホップとして凱旋を果たした。
現状、日本で使われているソラチエースは米国産のものが多いという。 「いつかは日本産だけで作りたいと考え、その比率を増やしてきた。生産量も大幅拡大を実現し、40周年を機に他のブルワリーにも販売開始。ホップでビールを選ぶ新しい楽しみ方で、ビールをより魅力的なものとするきっかけとしたい」。6日のメディア向け体験会で、サッポロビールの新井健司氏が語った。 キリンビールの金惠允氏は「長い旅を経て、日本に戻ってきたソラチエース。この羽田空港も、世界に旅立ち帰ってくる場所であり、縁を感じる。会場に選んだのも、そうした理由から」と説明した。 イベントでは「SORACHI1984」「ブルックリンソラチエース」を提供。さらにヤッホーブルーイング、木内酒造、忽布古丹醸造のクラフトブルワリー3社から、サッポロが契約生産するホップを使用した限定ビールも披露され、来場者らは5種の多様な味わいを楽しんだ。