新型ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンALL4は、最強のオール・イン・ワンだ! 大きく進化したミニの新しいカタチとは
BOOSTの効果絶大!
新型ミニ・カントリーマン S ALL4の試乗記で紹介したように、このクルマにはダッシュボード中央の巨大な円形パネルの下に、「EXPERIENCE」と、記されたトグルスイッチが備わっている。このスイッチでエクスペリエンスモードを切り替えることが可能で、たとえばのんびり、エコに走りたいときには「グリーン」モードを選ぶ。 ここで、「ゴーカート」モードを選ぶと、エグゾーストサウンドは重低音の効いた迫力のあるものに変わり、ハンドルからの手応えも増す。ただパワステが重くなったというだけでなく、ハンドル操作に対するクルマの動きがダイレクトになる。このステアリングフィールの変化はゴーカートモードを選択することで、アダプティブサスペンションの設定がタイトになることにも関係するのだろう。 ゴーカートモードにすると、クルマがひとまわりコンパクトになり、車重も3割減になったかのように、キビキビと軽やかに走るようになる。あと、昭和のクルマ好きは、こういうワイルドな美爆音を聞くとパブロフの犬のように、条件反射的に気分がアガる。 加えて、ステアリングホイールの左右に備わるパドルのうち左側、「BOOST」という赤文字で刻まれたパドルを引っ張り続けると、10秒間だけフルブーストになる。排気音は野蛮の一歩手前までさらに激しくなり、アクセル操作に対するレスポンスはまさに電光石火だ。液晶パネルには「10」から「1」までのカウントダウンが表示されるけれど、この10秒間はまさにハバネロのホットハッチだ。 ボタンを押すとナイトラス・オキサイドを噴射してドカンと加速する、映画『ワイルド・スピード』に登場するニトロチューンのようでギミック感満載であるけれど、童心に帰るというか、頭の中が空っぽになる。ちょっと大げさに作り込まれた排気音といい、エンタメ的な盛り上げ方が上手で、楽しめる。 しれっと乗ればクールな高級車だし、スポーツカー好きが乗っても満足ができる。4輪駆動のSUVだから、タイヤさえ換えればウィンタースポーツにも対応可能だ。最強のオール・イン・ワンで、もし1台ですべてをこなさなければいけないのならば、有力な候補になるだろう。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)