パナソニック、電力会社の節電要請に自動で応える冷蔵庫を開発
パナソニック くらしアプライアンス社は、中部電力ミライズと共に、家電機器をデマンドレスポンス(以下、DR)制御する実証実験を行なった。 【画像】実証実験のイメージ 近年、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入が拡大している。そのため天候などによって電力供給量が変動し、需要が多い時期には電力需給がひっ迫する一方、需要が少ない時期には供給過多になって電力が余るケースが発生している。 そのため電力供給に合わせて、需要側(電力ユーザー側)が電力の使用量を変化させて、電力需給バランスを調整するDRの重要性が高まっている。 電力会社が発信するDRには、電力使用量を減らす「下げDR」と、増やす「上げDR」の2つのパターンがある。電気が足りなくなりそうな時には、電力会社から「電気を少し節約してください」という要請が前日に届く。 この要請を受けて、電気を節約することを「下げDR」と言い、 逆に電気が余りそうな時に「電気をもっと使ってください」という要請が届くこともあり、こちらを「上げDR」と言う。 従来は、DR要請が届いた時に、ユーザー自身が考えてアクションする必要がある。そのため「何をしたら良いのか分からない」、「アクションを忘れる」などの課題があった。 そこでパナソニックは、DR機能を試験搭載した冷蔵庫を開発。実証実験では、中部電力ミライズからのDR要請をユーザーのスマートフォンアプリへ通知し、ユーザーがアプリを使って予約すると、冷蔵庫が下げDR運転、または上げDR運転を行なうようにした。 具体的には、下げDRの要請が来ると、冷蔵庫の冷却パワーを少し抑えて節電。上げDRの要請が来ると、電気が余っている時間に庫内をしっかり冷やしておき、電力不足の時間帯の電気消費を抑える。 実証実験の結果、要請に対する自動DR制御の有用性を確認できたという。また、DR運転の開始と終了時刻をアプリや冷蔵庫のアラームで知らせることで、冷蔵庫以外の機器に対しても省エネ行動を起こすなど、ユーザーの行動変容にもつながっていたという。 また冷蔵庫が自動制御されることに対する不安の声はなく、DR運転においても庫内の温度は適切に保たれて保存食品への影響はないことも分かったとしている。 実証実験の結果を受けて、同社は今後もDR機能を搭載した冷蔵庫開発を進め、中部電力ミライズをはじめ各電気事業者と家電DRサービスを検討する方針を示している。
家電 Watch,河原塚 英信