もっとも中国政府を信用していないのは中国国民? 「対中リスク管理」は中国企業を参考にせよ、といえる「納得の理由」
必要に応じて国家目標化・法制化
一方、中国の場合はこと経済に関する部分だけを見ても、通常の産業振興はもちろん、産業スパイも含む、強力なインテリジェンス機関を活用した情報や技術の窃取、あるいは人材の引き抜きなどに関して、日本であれば法令上、できないようなところまでを含めて「経済戦略」に位置づけており、しかも「実行しながら効果的かどうかを検討する」ことも可能です。 そのうえである程度、効果が見込めれば法制化する、国家目標化するという順序になっているケースが多いという点も見る必要があるでしょう。 つまり中国は日米の「経済安保」施策に対し、具体的な新規対抗策を用意してはいませんが、そうした施策を打ってくることは考慮のうえ、大きな経済戦略の中で対処しながら、必要に応じて国家目標化、法制化するというシステムで動いている点を踏まえておかなければなりません。
中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)