米国にシリア「出口」戦略はあるのか 仏テロで潮目変わる?
これまでは、地上にいる穏健派の反体制派と連携しながら、「イスラム国」への空爆を軸にしたのがアメリカの軍事攻撃の中心でしたが、地上軍を派遣する状況になってくるのは必然的かもしれません。しかし、世論調査によっては地上軍派遣には慎重な姿勢もみえ、世論の変化はよみにくいところです。 いずれにしろ、パリ同時多発テロで、アメリカの軍事戦略も変わりつつあります。現段階で出口戦略といったような先の流れまではみえにくいのですが、まずはアメリカのシリア戦略における大きな潮目が来ているのは間違いないといえそうです。オバマ政権がどれだけ「イスラム国」対策に積極的な動きができるか、次の一手に注目したいところです。
■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)