「りんご」は生と加熱、健康メリットが高いのはどっち?一緒に摂ると良い食材は?知って得する「りんごの食べ方」
「1日1個のりんごは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away)」ということわざがあるほど、欧米ではりんごは健康維持に役立つ果物として定着しています。 【写真12枚】りんごのおすすめの切り方(皮付き)や料理を見る!美腸活をテーマとしたグロッサリー&カフェ「L for You AOYAMA FLAG SHIP SHOP」のメニューも 『青森県りんご対策協議会』開催のりんごの健康効果セミナーにて、ドクターズフルーツといわれるりんごのパワーについて、栄養士の佐藤秀美先生、アフロードクリニック代表医師の道下将太郎先生に、栄養面でのメリットや、栄養やおいしさをより享受できる食べ方を教えていただきました。
なぜりんごはドクターズフルーツと言われるの?
生命の維持に不可欠な成分が“栄養素”ですが、りんごにはカリウムとビタミンCの栄養素が含まれています。また、健康の維持・増進に役立つ成分“栄養成分(非栄養素)”として、食物繊維とポリフェノールもりんごには含まれています。 日本人の死因の約半数(2023年人口動態統計)を占めるがん、心臓病、脳卒中の予防にはカリウム、食物繊維、抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノール等)が効果的に働くとされます。りんごにはこれらの成分がすべて含まれています。 日本人に多い高血圧に関しても、りんごにも含まれるカリウムは、高血圧の原因にもなっている塩分(ナトリウム)を排出するので、高血圧の予防・改善に重要な役割を果たしています。 ポリフェノールは苦味や色素を示す抗酸化物質で5000種類以上あり、抗酸化物質は活性酵素を無害化することで生活習慣病の予防に役立つと研究で明らかになっています。 ポリフェノールは種類によって抗酸化力、体内での作用場所、それに伴う健康効果が違ってきます。りんごには複数のポリフェノールが含まれており、皮、実共にプロシアニジンというポリフェノールが一番多く含んでいます。そのほかにもカテキン、クロロゲン酸類といったポリフェノールが含まれ、これらは抗酸化、抗がん、血糖値の上昇抑制、体脂肪低減、認知機能の改善に役立つとされます。 「厚生労働省が推奨している1日に食べる果物の量は200g。りんご1個の一般的な大きさは350gで、そのうち可食部は322gほどです。 日本人はカリウムが目安量さえ摂れていない人が多く、1日にりんご1個を食べることで、男女共に健康維持のための量を確保でき、さらに60、70代女性は高血圧予防に必要な量も確保できます。健康の維持、高血圧の予防・改善のためには、りんごを1日1個以上食べると良いということですね。 がん、心臓病、脳卒中といった生活習慣病を予防するために目指す食物繊維摂取量は1日25g。しかし食物繊維に関しても目標量さえ摂れていない人が多いのが現状です。 食物繊維が多い食べ物としてゴボウがありますが、1食分の食物繊維量で比較すると、ゴボウの場合は小鉢1杯分程度の1/3本で、りんご1個と比較すると逆に摂取量が少なくなってしまいます。間食としても手軽に摂れるりんごは、食物繊維の供給源としても効率的で価値があるといえます」(佐藤先生) 「果物摂取量と死亡リスクの関連を見ると、果物を摂ることで全死亡リスクは8~9%低下、心臓血管死亡リスクは9%低下、呼吸器死亡リスクは5%低下しています。全死亡リスクに関しては野菜摂取よりも果物摂取の方がリスクが低下しています。 果物は1日200g以上摂ることが望ましいとされますが、日本人の約4割は1日に果物をまったく食べていません。果物はたくさん食べても問題ないのですが、果物の摂り過ぎから糖尿病の心配をされる方もいます。 実はりんごを1日1個以上食べる人は、糖尿病のリスクすら13%も下げてくれます。また、りんご由来のポリフェノールが血糖値、糖尿病に対して有益な効果を起こすというエビデンスもあります。 腸内環境でいうと、りんご由来のポリフェノールだけでは腸内細菌の構成が大きく変わることはないですが、アスリートに多い乳酸菌、酪酸産生大腸菌という、代謝効率を上げたり、免疫力を上げるような善玉菌が増加することがわかりました。 病気になってから薬を飲み始めるのではなく、毎日の食事習慣を変えることで薬の代わりになる予防医療を海外では『Food is Medicine』といいますが、予防医療の観点からみてもりんごの健康効果は期待できます。1日3食のうちのいずれか、もしくは間食でりんご1個を摂ることから始めてみるとよいでしょう」(道下先生)