「父の日」の影は薄くとも、父の存在感は色あせず 斉藤三恵子さん 柔の道、寄り添う
五輪が約1カ月後に迫ったこの時期、21、22日にペルーで開催されたパン・アメリカンオープンにイレギュラーな形で派遣されました。パリ五輪の組み合わせに関わるランキングを計算したテディ・リネール選手(フランス)が予想外の試合を挟んでランキングを上げたことで、立も動かざるを得ない状況になってしまいました。
移動に片道約30時間も要します。フランスに長く住んだ私としては、彼らのしたたかさもよく分かっていただけに、もどかしい思いはあります。この大会で優勝し、ランキングを上げる目標を果たせたことは幸いでした。日本にいると根を詰めすぎてしまう面もあると思うので、調整の期間として少し体を休め、帰国してからまたガンガンやる、という感じでスケジュールを立て直して前向きにやっていくしかありません。
5月からは味の素とパートナー契約を結び、栄養面を含めて多くのサポートをいただいています。本当にプロフェッショナルで、どういうふうに五輪にピークを持っていくか、コンディショニング全般を支えていただいて助かっています。いよいよあと1カ月で開幕。できる限りのことをして、悔いなく試合当日を迎えられるようにしたいと思っています。
五輪2連覇の斉藤仁の妻として、パリ五輪に出場する次男・立の母として、斉藤三恵子さんが柔道一家をめぐる話をつづります。
斉藤三恵子(さいとう・みえこ)1964年、大阪府生まれ、大学卒業後、海外の航空会社に就職。フランスの航空会社で客室乗務員をしていた1993年に斉藤仁氏と出会い、97年に結婚。長男・一郎氏、次男・立の母。
斉藤立(さいとう・たつる)体重無差別で争う全日本選手権は2019年に史上最年少の17歳1カ月で初出場し、22年に初優勝。男子100キロ超級で18、19年全国高校総体、18年全日本ジュニア体重別選手権優勝。21年のグランドスラム・バクー大会でシニアの国際大会初制覇。男子95キロ超級で五輪2連覇の故斉藤仁氏と三恵子さんの次男。兄は一郎さん。得意技は体落とし、払い腰。東京・国士舘高から国士舘大学に進み、4月からJESグループ所属。191センチ。22歳。大阪府出身。