「自分のやりたいこと」がわからない理由【新しいキャリアの見つけ方】
「ライフラインチャート」で価値観を知る
さてここからは、自分自身を深堀りしていきます。自分を知るためには、自分がこれまでどのような環境に生まれ育ち、何に興味をもってきたのか、所属してきたコミュニティでどんな役割を担ってきたのかなどを振り返ってみましょう。項目は以下のとおり。 【自己分析シート質問項目】 ・父親(祖父)について・母親(祖母)について・自身の兄弟姉妹について ・パートナー(妻、夫)について・子供構成について ・居住地について ・大事にしている言葉について・本について ・映画について ・好きな歌について・没頭した、夢中になったことについて ・嫌いなことについて・集団の中での特性について ・将来について 人は、いろんなものに影響を受けながら成長していきます。それらの影響が、その人の性格や考え方に反映されていくのです。特に、親や祖父母、兄弟姉妹など家族からの影響は大きく、ものの考え方のベースを作り上げています。また、読んだ本やマンガ、そして観た映画やドラマなどからも影響を受けていきます。 さらに、これまでの自分の仕事観や集団での振る舞い、将来について書き込むことで、自分自身の人生を振り返ってみましょう。 このように言語化することは、自分の頭の中から情報を切り離し、客観視するにはとても有効です。改めて言語にしてみると、なぜ自分がいまここにいるのかを明らかにするヒントが詰まっているかと思います。 次に、ライフラインチャートを描いてみましょう。 ライフラインチャートとは、自分のこれまでの人生において「幸福度」がどのくらいだったのかを1本の線で表現したものです。チャートのヨコ軸は時間(年齢)、タテ軸は自分が感じた幸福度となります。 まずは、生まれてからの幸福度について時系列で点を打ち、線でつないでみましょう。 自分の感覚でいいので、最高に幸福だった場合は100%、最低に不幸だった場合を0%として、その時の幸福度を%で表してみます。それらの点をつないで、幸福度が変化していく様子を線で表します。 参考に、山田知美さんのできごとと、そこから描いたライフラインチャートを紹介します。 チャートとして見てみると、自分がどんなときに幸福感を感じ、どんなときに不幸を感じていたのかをビジュアルで感じることができます。 さらに分析してみると、線が上がっている期間は、あなたが幸福度を増していった時期であることがわかります。なぜ幸福感を感じていたのかを考えることで、あなたの幸せの基準がわかってきます。 逆に、線が下がっている期間は、幸福度を下げていった時期です。こちらも、なぜ幸福感が減っていったのかを考えれば、あなたが大事に思っていることが見えてきます。そして、線が上昇に転じたきっかけを分析してみれば、困難をどうやって克服していったのかを見極められます。 * * * 『新しいキャリアの見つけ方』(有山徹 著) アスコム 有山徹(ありやま・とおる) 一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事。4designs株式会社代表取締役CEO/founder、国家資格キャリアコンサルタント。早稲田大学MBA。国家資格中小企業診断士。就職氷河期である2000年に早稲田大学卒業、大手食品メーカーに就職するも、より経営に近い成長できる環境を求めて3ヶ月で退職しフリーターに。24歳で中小企業診断士に合格し経営コンサルティング会社に転職、その後、東証一部上場のIT企業、DX企業や医療系ベンチャー企業など事業会社5社で経営企画部長や管理本部長などを経験。MBO後の組織改革や、未上場からの東証一部直接上場(IPO)案件、グループERP導入案件などのプロジェクトリーダーを務めるなど全社プロジェクトマネジメントを得意とする。2019年、経営・キャリア支援を行う4designs株式会社を起業、独立。2020年3月、法政大学キャリアデザイン学部田中研之輔教授と一般社団法人プロティアン・キャリア協会を設立。現在は、大手総合商社、大手電機メーカー、大手石油・化粧品メーカー等へのキャリア開発視点での組織開発支援やキャリア開発の実践支援を行うプロティアン・キャリア戦略塾など、研修や面談を通じて多くの個人に100年・VUCA時代の最先端キャリア開発である現代版プロティアン・キャリアを伝えている。
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