私立大学の学費が4年で「700万円」! 貯金がない場合、親が「国の教育ローン」を組む・子どもに「奨学金」を申し込んでもらうのとどちらがおすすめ? 併用もありなの? 違いを解説
子どもが学校に通う期間のなかで、もっともお金がかかるのは「大学」でしょう。入学から卒業までの4年間で数百万円の学費がかかることも珍しくありません。 日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によれば、高校入学から大学卒業までにかかる費用は、進学先が国公立大学なら743万円、私立大学文系で951万6000円、私立大学理系では1083万4000円です。 これだけの金額を用意するのは、どの家庭にとっても簡単ではないでしょう。そこで、「奨学金」の検討をする家庭は多いでしょう。ただ、ほかの選択肢として「国の教育ローン」もあります。 本記事では、国の教育ローンと奨学金の概要や制度の違い、それぞれに向いている人の特徴を紹介します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
国の教育ローン(教育一般貸付け)とは
国の教育ローンは、独立行政法人日本政策金融公庫が取り扱う教育資金の融資制度です。利用限度額は進学する子ども1人につき350万円まで、一定の要件に該当する場合には450万円まで借入することができます。金利は固定金利で、2024年6月時点で年2.40%です。 奨学金との違いは、学生ではなく親(保護者)が主契約者になって借りる点です。大人がお金の問題を解消することで、子どもは借金を背負うことなく大学の勉強に集中できます。ただ、図表1のような所得制限がある点は知っておきたいところです。
日本政策金融公庫 教育ローン用返済シミュレーション を基に作成
奨学金
奨学金は、経済的な理由が原因で進学が困難な学生に、企業や自治体、団体などから教育費用の貸与を受けられる制度です。 中でも日本で多く利用されているのが「JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)」の奨学金です。返済の必要がない給付型と、将来的に返済が必要になる「貸与型」に分類できます。 有利子の貸与型の場合には元金と利息を支払うことになりますが、国の教育ローンよりも低金利です。 例えば、令和6年4月分の基本月額に対する利率固定方式の金利は1.140%で、国の教育ローンの固定金利2.40%を大きく下回ります。卒業後に子どもが返済義務を負うリスクはありますが、金利が低い分だけ返済総額は安く済む可能性があります。 また、有利子の第二種奨学金なら月額2~12万円で毎月定額を借りられるので、上限が350万円~450万円と決まっている国の教育ローンではカバーできない高額な授業料でも対応できます。