紅麹菌培養タンクに亀裂…複数の工程で青カビ混入の可能性、大阪市が3製品の廃棄指示へ
小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、大阪市は26日、原料を製造した大阪工場(大阪市淀川区、閉鎖)への立ち入り調査結果の概要を公表し、紅麹菌を培養するタンクに経年劣化による亀裂や空気の漏れがあったと指摘した。培養開始時など複数の工程で青カビが混じった可能性があると、混入経路について初めて言及した。 【写真】「糸ようじ」など3商品の販売休止
市は同日、回収命令を出していた「紅麴コレステヘルプ」など3製品の廃棄を同社に指示する方針も決定。年明け以降、市の立ち会いの下、約41・6万個を廃棄させる。
市は問題が発覚した3月以降、食品衛生法に基づき、大阪工場への立ち入りや従業員への聞き取り調査を実施。26日の対策本部会議では、青カビの混入経路として、▽種菌を増やす工程▽米や米胚芽、水を入れた培養タンクに紅麹菌を投入する段階▽状態を確認するためのサンプル採取時――など複数の可能性を列挙した。混入により、腎障害を引き起こした原因物質「プベルル酸」が生成されたと結論付けた。
さらに、温度など製造状況が一定でなかった上に、衛生管理の記録に漏れがあるなど組織の管理体制も十分でなかったと指摘した。
また、2782人を対象とした疫学調査では、倦怠(けんたい)感(1173人)や頻尿(802人)、手足の浮腫(493人)などの健康被害(複数回答)が確認された。
市は来年3月をめどに調査結果を国に報告する方針。