<挑戦の春・’21センバツ専大松戸>第1部 軌跡/4止 「15番目」気概の下克上 関東4強、完封勝利に手応え /千葉
下克上――。専大松戸の選手たちが、関東大会に臨んで胸に秘めていた言葉だ。 それは、県大会の第3代表決定戦で勝利した2020年10月4日にさかのぼる。この勝利で関東大会への出場権を得た野球部員は、はじけそうになる笑顔をぐっとこらえ、表情を引き締めていた。「喜んではいられないぞ」。持丸修一監督やコーチの言葉は、ふだん以上に厳しかった。 通常は決勝に進出した2校のみに与えられる関東大会の出場権。今回、開催県となる千葉は3位まで出場することができた。専大松戸は、第3代表決定戦での勝利によって三つ目の枠を獲得した。関東大会に出場するのは7県の計15校。「俺たちは15番目のチーム。挑戦するつもりでがんばろう」。そんな思いを託した言葉が「下克上」だった。 ◇ ◇ 関東大会に向け厳しい練習が再開した。バッティング練習では実戦を意識し、相手投手をどう攻めるか研究を重ねた。試合でミスをしないよう、ノックなどの基本練習も繰り返した。エースの深沢鳳介投手(2年)は制球力を高める練習に打ち込んだ。特に「投球フォームが崩れないようにすることを目指した」という。 関東大会の1回戦で鹿島学園(茨城)を破った専大松戸は、10月27日、2回戦で鎌倉学園(神奈川)と対戦した。ベスト4入りをかけた試合だ。関東大会で4強に入るかどうかは、センバツ出場の成否を大きく左右する。 そんな特別な一戦。6―0とリードを広げて迎えた九回裏。深沢投手は一昨日の試合で137球を投げた疲労を感じさせない投球で3人の打者を抑えた。完封勝利。センバツへの確かな手応えをつかんだ瞬間だった。 ◇ ◇ 1月29日、選考委員会が開かれ、専大松戸のセンバツ出場が決まった。部員たちは練習グラウンドで整列し、徳山斉校長から決定の知らせを受けた。最前列の石井詠己主将(2年)が、部員を代表してこう誓った。「甲子園では一回でも多く校歌を歌えるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」 報道陣を前に、持丸監督は感慨を込めて語った。「勝ち負けは考えず、怖がらないで思いきってやっていこう。(選手たちには)一番はじめにそう言った。それで気持ちがひとつになったのかな。よくやってくれた」=第1部おわり