私立大の「共通テスト利用入試」は受けたほうがいいの? 「利用者が減少するだろう」と専門家
私立大の入試方式はさまざまなものがあり、大学入学共通テストの点数を利用する方式は、約9割の私立大が導入しています。国公立大志願者にとっては併願しやすい方法ですが、そのほかの学生にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。新課程対応となる2025年度入試からは、共通テスト利用入試に変化が起きると予測されます。早稲田大学は、共通テストが必須となる学部を増やしました。活用方法や注意点、最近の動向について、駿台予備学校で長年、入試情報責任者を務めてきた石原賢一さんに聞きました。(写真=Getty Images、共通テストの答案用紙ではありません) 【表】年収600万円程度までの世帯 私立・理工農系学部に行く場合の学費減免額(図=JASSOウェブサイトを参考に編集部で作成)
出願は「共通テスト実施前」が基本
大学入学共通テストを活用する私立大が増えています。共通テストの前身である大学入試センター試験を利用する大学は当初、ごく一部でしたが、2000年代に入ってから大幅に増え、現在は9割近くの私立大が共通テストを利用した入試方法を採用しています。増加した理由について、石原さんは2つの要素を挙げます。 「現在は総合型選抜や学校推薦型選抜のほか、一般選抜でも全学部統一入試(1回の試験で複数の学部や学科に出願できる入試方式)など、多様な選抜方法によって、さまざまな受験生を確保しようという動きが広まっています。共通テスト利用入試もその一つです。さらに大学としては、手間をかけずに受験生獲得の機会を増やせるというメリットがあります」 共通テスト利用入試は、共通テストの成績だけで合否が決まる「単独型」と、大学独自の試験を組み合わせて合否が決まる「併用型」があります。多くの私立大は単独型を採用していますが、難関大学では共通テストに加えて独自の長文読解問題を課したり、医学部などでは二次試験として小論文や面接を実施したりする場合があります。 「併用型の場合は、共通テストの範囲にはない問題を出題するなどして、より大学のアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に沿った受験生を受け入れたいという狙いがあります」 出願は共通テスト実施前に締め切りとなる大学が多いですが、国公立大と同様に実施後に締め切りとなるケースや、前期・中期・後期と3回出願するチャンスがある大学もあります。