かんぽ不適切販売問題 特別調査委が会見(全文2)民営化前から行われていた
誰がこういう形をつくったのか
浪川:フリーの記者の浪川と申します。8ページの日本郵政のガバナンスの問題点に関してご質問したいんですけども、先ほど今回の調査が経営の責任に関するところまでのものではないというご説明があったので致し方ないのかなと思うんですが、表現が非常に外形的で静態的すぎて、今こういう形になってるという表現なんですけども、いったいこういう形になってしまったのは誰がこういう形をつくったというふうに認識していいんでしょうか。 つまり、グループガバナンスの在り方について全役員のコンセンサスが得られていなかったことというのは、誰によってそういう得られないことになっているんですか。これは責任の追及とかじゃなくて客観的主語の問題としてお尋ねしたいのと、あと、これは、先生方は企業のガバナンスとかそういうののご専門分野でらっしゃるんじゃないかと思うんですが、上場企業の株主に対する負託に応えるという意味においては、極めて原則的なことが不足してたという認識をもってこれを理解してよろしいでしょうか。 伊藤:おっしゃることはある意味で分かるんですけれども、この日本郵政のような持ち株会社、この企業のグループの形態というのは、子会社が全部100%の非上場の子会社という場合と異なりまして、例えばかんぽ生命は上場している子会社であり、日本郵便は100%子会社と。こういう形態の持ち株会社は、いわゆる完全な統制を利かせるっていうのではなくて、どちらかといえば各子会社の独立性を尊重しながら、その上で必要なことをやるっていう体制をつくるっていうのがむしろ普通だろうと私は思っています。
取締役会で意見をぶつけ合っていなかったのか
ただ、グループ全体の中長期的な企業的な価値とか、あるいは持続的な成長を実現するというそういう観点で、例えば今回のようにグループの企業価値が毀損されるようなそういう恐れが顕在化する、そういう場面では、やはりグループの持ち株会社として適正な措置を取らなくちゃいけないと、こういうガバナンスの形態であろうというふうに思います。 ただ、そうでないという説もありまして、役員のヒアリングなんかもいろいろさせていただいたんですけれども、もっとがんがんやるべきだという役員の方もおられますし、いや、こういう形態の持ち株っていうのはむしろ子会社に全部任せて、なんかあったときだけ出ていくようにというふうにガバナンスとしては考えて、いわゆるそういう意味のコンセンサスが役員間であまりできていなかった。だから持ち株としてどうすればいいんだという、そういうものが十分でなかったという、そういう趣旨のことを書いております。 浪川:もう一度お尋ねします。調査委員会が、今おっしゃったように役員の方にヒアリングをして、こうおっしゃっている方もいて、そうではない意見もおっしゃっている方もいたということを今おっしゃってたわけですけども、つまりここで全役員のコンセンサスが得られていなかったっていう表現は、少なくともいろいろな意見をお持ちの役員の方が、そういう意見をぶつけ合うような会が、議論が日本郵政の取締役会では行われてなかったっていう、こういう理解でよろしいんですか。 伊藤:その限りにおいて間違ってはいないと思いますけど。 浪川:分かりました。ありがとうございます。 司会:ほか、よろしいでしょうか。