激減「水ぼうそう」ワクチン普及で劇的変化、感染者は帯状疱疹リスク持ち続けることに…
■年重ねると免疫低下 定期接種で「ブースター効果」得られにくく
水ぶくれや発疹が体の片側に広がり、かゆみや痛みを伴う帯状疱疹は水痘と同じウイルスによって起こる。水痘ワクチンの定期接種は、将来的な帯状疱疹患者の減少にもつながると期待されるが、現段階では発症リスクが増す世代もあるとされ、注意が必要だという。
水痘にかかると、症状がなくなった後もウイルスは体内に潜伏し続ける。普段は免疫で活動を押さえ込んでいるが、免疫低下によって再活性化を許すと、帯状疱疹を発症する。
このため、幼少期にワクチンを接種し、水痘に感染しなければ、帯状疱疹を発症することはない。近畿大の大塚篤司教授によると、水痘ワクチンを打った子供たちが大人になっていけば、帯状疱疹患者も減っていくといわれている。
ただ、現在は、ワクチンを接種している世代と、幼少期に多くが水痘に感染した世代が混在していることから、帯状疱疹患者が増える懸念もある。
水痘や帯状疱疹を引き起こすウイルスに対抗する免疫は、年を重ねるとともに低下する。従来は子供が発症した水痘ウイルスを親が体内に取り込むことで、免疫を活性化する「ブースター効果」が得られ、帯状疱疹の発症を抑制していた。
ところが、ワクチンの定期接種によって子供が水痘にかからなくなると、ブースター効果を得る機会がなくなるというわけだ。近年は帯状疱疹の若年化が進み、20代から40代の子育て世代で増加しているとされる。
帯状疱疹予防のワクチンは50歳以上を対象に任意接種が行われており、定期化も検討されている。大塚教授は「接種費用を補助してくれる自治体もあるので、大人でもワクチン接種で予防していくことが重要だ」としている。(小川恵理子)