ミライのF1マシンはどんな形? グランプリ率いるドメニカリCEOに直撃インタビュー
F1マシンを変えていくなら?
ドメニカリCEOは、何か変更すべき点があるとすればマシン重量だと考えている。 「フォーミュラカーのアプローチがどこから始まったのかを忘れてはいけない。今後も常に議題に挙がるのは、マシン重量と寸法だろう」 「今はマシンが大きく、重いという状況だ。もしかしたら今後、この新しい展開の中で、本当に軽量マシンに戻すことを決断できるかもしれない」 「しかし、それについて議論するのは時期尚早だ。まずは2026年のテクニカルレギュレーション、そしてスポーティングレギュレーションにどう対応できるかを検討し、適切な時期にそれについて話し合うことにしよう」 マシン軽量化の追求は、2026年のレギュレーション変更でも目標のひとつになっていた。ただ大幅な軽量化は、当初期待されたほどには進まなかった。 ヘイローを含めより安全なマシンは、重量増という結果を伴う。しかし現在のマシン重量に関する要因のひとつはPU。特に搭載しているバッテリーだ。 F1が長期的にマシン重量を減らしたいのであれば、重いハイブリッドマシンからの脱却は、水素へのシフトであれ、旧来のV8エンジンへの回帰であれ、検討する価値がある選択肢だろう。 ドメニカリCEOは、この件に関して興味深い考えを持っている。 「技術、コスト、安全性など多くの理由から、水素そのものがF1の中期的な解決先になるとは思わない」とドメニカリCEOは言う。 「しかし私は(軽量化を)進めるために、この種のコンセプトを維持することが正しいと信じている。仮に持続可能燃料がゼロ・エミッションという正しい働きをして、持続可能という点を正しい方法で捉えているのであれば、エンジン開発に関してそれほど複雑かつ高価なモノはもう必要ないのかもしれない」 「だから、もっと軽くて音の良いエンジンに戻そうと考えるかもしれない」 「このような議論は、導入3年以内に必ず出てくると思う。新しい旅路の途中で、我々は自分たちが今どこにいるのか、状況はどう変化しているのかを考え、見極める必要がある」 「しかし、重要なことがひとつある。振り返ってみて、いかに物事が急速に変化しているかを認識することだ」 「2~3年前までは、誰もが『電気自動車(普及の流れ)が永遠に続く』と言っていたのを覚えている。今ハンドブレーキを引くのは、先に進むよりも影響が大きい。だから我々は慎重になる必要がある」 「我々は正しいアプローチを取らなくてはならない。スポーツビジネスを営んでいる訳だし、我々のニーズとスポーツのために正しい決断を下す必要があると思う」
Jonathan Noble
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