ミライのF1マシンはどんな形? グランプリ率いるドメニカリCEOに直撃インタビュー
アウディIN ルノーOUT
新レギュレーション導入により、特にアウディという新たなメーカーの関心を集めるというポジティブな結果に繋がった。しかしここ最近、その莫大なコストに見合う変更ではなかったのではないかという指摘もなされている。 内燃エンジンと電気モーターのパワー比率が50対50という新PUの開発に数十億ドルを費やし、そのPUを搭載するためにシャシー側が妥協を強いられることを考えると、F1が新メーカー獲得で得られる利益はゼロになる可能性が高い。 実際、ルノーはPU開発と製造を停止する方向に向けて動き出しており、同社のワークスチームであるアルピーヌは、他メーカーのカスタマーPUを使用する可能性がある。 しかしドメニカリCEOは、新レギュレーション導入によってF1が一歩進んで一歩下がったという見方には同意しなかった。 「レギュレーションが決まった時点で、メーカーが選手権に参加することに対して本当に興味を持っているかどうかを確認する必要があったと思う。エンジンがなければ走ることができないから、この方程式の重要な要素だ。だからこそ、耳を傾ける必要があった」 「我々は恥ずかしがったり、木の陰に隠れたりする必要はないし、メーカーは全て、それぞれに利害が異なるから妥協案であったことは事実だ」 「しかしFIAは、誰もが納得できるモノにするため最善を尽くそうとした。それは事実だ」
レギュレーション変更の頻度
5年毎に繰り返されるレギュレーション変更によって勢力図が入れ替えられるというサイクルを変えるべきかどうかが注目される中、ドメニカリCEOはレギュレーション変更のスピードを遅らせることを検討する良い機会だと語った。 「2030年にもう一歩踏み込んだ変更を行なう上で、今何かすることが正しいのだろうか? ということに帰結する。新しいテクノロジーがどのように導入され、どのように発展していくかを見守る必要があるから、今はそれに答える上で正しい立ち位置にいない」 「そのため、それについて議論する必要がある時が来るだろう。そしてレギュレーション変更の必要性があった時と同じように、メーカーやチームの必要性、エンジニアリングの必要性が確実に存在するかどうかを理解する必要がある」 「変更の必要性は通常、ふたつの理由から議論される。ひとつは我々がモータースポーツの最高峰であり、トップレベルの技術を採用しているということだ」 「過去におけるふたつ目の理由は、圧倒的なマシンを止めることだった。それはかなり明確だった。私が違う色の服に身を包んでいた(フェラーリのチーム代表を務めていた)時、それもゲームのひとつだったということを覚えている」 「でも今はレギュレーション、予算制限、空力制限といった新しい要素が加わったことで、この点はもう議論に挙げられることはないと思う」 「本当のところは、将来に向けた技術的な課題なのだ。その変化が5年という短いサイクルで起こるかどうか? それが今後の論点になるだろう」
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