【台湾】台風18号、北部などで豪雨か 勢力弱まる可能性も「脅威ある」
台湾交通部(交通省)中央気象署は2日、台風18号(クラトーン)が3日にかけて上陸し、北部を含む各地で局地的な豪雨になる可能性があるとの見方を示した。上陸後は次第に勢力が弱まり、熱帯低気圧に変わる可能性があるものの、各地に脅威をもたらす恐れはいまだにあるとして特別な注意を呼びかけた。 気象署によると、台風18号は2日午後2時現在、高雄の西南約120キロメートルの海上を時速9キロで東北に進んでいる。中心気圧は940ヘクトパスカルで、中心付近の最大風速は秒速45メートル、瞬間最大風速は55メートル。勢力は日本の気象庁の「強い」から「非常に強い」に相当する「中度」となっている。 気象署は午後の記者会見で、台風が上陸する際に災害級の突風が発生すると予想。北部、東部、南部、中部の山間部では3日にかけて局地的な大雨や豪雨になる可能性があるとした。 その上で、台風の速度が遅いことから、東部や南部では降雨の時間が長引くとして注意を呼びかけた。 ■延べ約5万戸が停電 気象署は2日午後2時30分時点で、苗栗、台中、彰化、南投、雲林、嘉義、台南、高雄、屏東、恒春半島、花蓮、台東、澎湖を対象に陸上台風警報を発令。行政院(内閣)人事行政総処によると、全県市が2日を対象に出勤・通学を停止する「停班停課」措置を実施した。 交通部によると、2日午後2時時点で公路(幹線道路)の12カ所で予防的通行止めを実施、計画。 台湾高速鉄路(台湾高鉄)は2日午前6時から午後9時半まで、各駅停車の全席自由席で運行し、台北市の南港駅と高雄市の左営駅からそれぞれ1時間に2便ずつ出発するとした。台湾鉄路(台鉄)は2日、西部幹線と宜蘭線、北廻線、台東線、南廻線、屏東線などの一部または全ての運行を停止した。 空の便は午後3時時点で国際線が253便、域内線が234便それぞれキャンセルとなった。海の便は16航路の延べ164便が欠航。内訳は域内線が134便、中国線が30便だった。 公営の台湾電力(台電)によると、2日午後4時までに全域の4万8,806戸で停電が発生した。このうち復旧したのは4万4,375戸。4,431戸では停電が続いている。 ■死者1人、行方不明2人に 内政部(内政省)消防署によると、台風18号によるインフラなどへの被害は2日午後2時までに計247件確認された。うち街路樹の関連は最多の54件。このほか、民生インフラに関するものが28件、建物の損壊が20件などとなっている。 県市別では、台南市が38件で最も多く、これに高雄市と新北市が34件で続いた。 死者は2日午後2時までに1人確認された。花蓮県の70歳前後の男性で、自宅の植木を手入れしていた際に転落し、病院に搬送されたが2日に亡くなったという。 行方不明は雲林県1人と花蓮県1人の計2人。負傷者は計70人で、内訳は台東県が24人、桃園市が8人、高雄市が7人などとなっている。 中央通信社によると、台東県の離島の蘭嶼郷で座礁した中南米バルバドス籍の貨物船が波にさらわれ、船体が傾いていることが2日朝までに確認された。波が大きいため近づけず、油が漏れているかどうかを確認することができないという。