【大人の群馬旅】前橋で牛を育てチーズをつくる「チーズ工房 Three Brown」へ
ベーシックなチーズに加え注目したいのは、前橋と縁のあるアーティストとコラボレーションしたチーズだ。現在は佐渡でフレンチレストラン「ラ・パゴット」を営む、フランス人のジル・スタッサールさんに依頼されて誕生したチーズは、その名も「ジル」。彼の出身地であるサンマルセランのレシピを元に、白カビと酵母で熟成させた独特の濃厚さが魅力。「熟成の進んだものはワインはもちろん日本酒とも相性がよく、野菜のディップとしてもお楽しみいただけます」と薫さん。また、スペイン人アーティストであるフェルナンド・ガルシア・ドリーの名前を冠した「ドリー」は、爽やかな酸味のあるフロマージュ・フレ。ドライフルーツやクルミをトッピングしたり、伊予柑のピールを和えたものなどバリエーションもあり、ハチミツやメイプルシロップをかけてデザートとしても一興だ。
最高気温を幾度も記録する盛夏の群馬だが、赤城山の緩やかな尾根に沿って車を走らせると、牧歌的な風景とともに草の香をおびた風が心地よい。赤い三角屋根のテラスに腰を下ろし、自家製シャーベットで口を潤していると、ふと明るいまぼろしのなかを浮遊しているような心地よさに包まれた。 住所:群馬県前橋市粕川町中之沢384-96 電話:027-285-6862 BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。