併殺崩しの危険なスライディング禁止で野球は変わるか?
プロ、アマ合同の日本野球規則委員会が11日、東京都内で開かれ、今季から併殺を妨ぐための危険なスライディングを禁止する項目を公認野球規則に追加することを決定した。昨シーズンからメジャーリーグで採用された危険なスライディングの禁止ルールに習ったもので、ベース付近での接触プレーで起こる守備側の怪我防止が狙い。併殺を崩すために手を挙げて送球を妨げることや、意図的に二塁ベースではなく、ベースカバーに入った野手に向かって滑り込んでいくような危険なスライディングが禁止され、審判が危険なスライディング行為と判断した場合、走者がアウトとなるだけでなく、打者走者もアウトとなり、悪質なプレーは警告の対象となる。メジャーでは、映像によるリプレー検証が行われているが、NPBでの具体的な運用方法などについては、23日のプロ野球の実行委員会で決定される。 メジャーの導入に準じる形で昨季から導入された「コリジョンルール」は物議をかもし出し、野球の戦術、戦略を大きく変え、勝敗に直結するような判定さえ出てきたため、シーズン途中に、再度、適用基準を変更するという事態を招いた。今回の危険なスライディング禁止も、これまでの野球そのものを変えるような大きな影響を与えることになるのだろうか。 代走のスペシャリストとして活躍した元巨人の鈴木尚広氏は「大きな影響はない」という見方だ。 「昔に比べると、すでに併殺崩しの危険なスライディングというものは、ほとんどなくなっています。おそらく球団の枠を超えての自主トレが盛んになったり、侍ジャパンやオールスターなどでの交流が増えたため、選手同士のつながりが深くなり、相手に怪我をさせる恐れのある潰すようなプレーなど心理的、心情的にできなくなったのが理由でしょう。そう考えるとコリジョンでは野球が大きく変わりましたが、この併殺崩しの危険なスライディングの禁止ルールでは、野球自体は大きく変わらないと考えます」 鈴木氏が指摘するようにNPBでは、近年“二塁ベース上での事故”は減少傾向にあった。