併殺崩しの危険なスライディング禁止で野球は変わるか?
昨季も併殺崩しの危険スライディングが問題となり、実際に怪我人が出たのは、4月3日に東京ドームで行われた日ハムの対ソフトバンク3回戦でのプレーくらい。この試合では、日ハムが1点を追う6回無死一、三塁から中田翔(26)の三塁ゴロで二塁ベースに入った二塁手の川島慶三(32)の足元に向かって田中賢介(34)が激しいスライディングを仕掛けた。両足を払われた川島は、転倒。その間に三塁走者が同点ホームを踏み、川島は痛みでプレーが続行できず退場を余儀なくされた。幸い大怪我には至らなかったが、工藤監督は「走路を外れた危険なプレーだ」と抗議。審判団のジャッジは「ベースに向かっていた」というもので守備妨害を取らなかった。もし、このルールが導入されていれば、アウトと判定されるケースだろう。 メジャーでは、2年前に二塁上での危険なタックルスライディングを受けたパイレーツの姜正浩が、左すね骨折と靱帯断裂を大怪我を負い、メッツのテハダも右すね骨折をするなど、選手生命を脅かす事故が多発したため、選手会を中心に禁止ルールの導入を求める声が強くなり、昨季から導入されていた。だが、日本の場合は 必要に迫られてというよりも「転ばぬ先の杖」的な意味合いでの今回の採用だろう。 野手に恐怖と錯覚を与えるための高度なスライディングを工夫してきた現役時代の鈴木氏のような本当にプロらしいテクニックが、ますます見られなくなるかもしれないが、怪我防止という観点から見れば意義のあるルール変更だと言えるだろう。