欧州議会選、ウクライナ問題や米との関係占う試金石に-最終投票日
(ブルームバーグ): 9日に終了する欧州議会選挙は、単に今後5年間の任期を務める720人の議員を選出するだけではない。ウクライナでの戦争といった重要問題への対処方法、またトランプ前米大統領が大統領に返り咲く可能性に備えどうかじを取っていくかについて、方向性が示されることになる。
6日から始まった欧州議会選では、欧州連合(EU)域内の約3億6000万人が投票権を持つ。EUに加盟する27カ国の大半で9日に投票が行われ、同日夜にも大勢が判明する見通しだ。
EU首脳は5月、地政学的な緊張と域外諸国による強権的な行動の強まりに対処するため、「緊急のパラダイムシフト」が必要だとの見解を示した。フランスのマクロン大統領は今回の選挙について、欧州大陸の存亡を賭けた闘いであり、ロシアに対するウクライナの戦いにとって極めて重要な意味を持つと指摘している。
極右政党はここ最近勢いが後退しているものの、今回の選挙で議席数の増加を目指している。極右政党が躍進すれば、移民問題が政治アジェンダの最優先項目に押し上げられるほか、気候変動を巡るEUの野心的な目標に向けた動きが順調に進展しなくなる恐れがある。予想では、ナショナリストのグループが5年前の選挙との比較で議席数を伸ばすとみられているが、政党間の分断が右派の勢いを弱める可能性はある。
欧州議会選の主な注目点は以下の通り:
勝者と敗者
選挙では中道右派の「欧州人民党(EPP)」が勝利し、中道左派の「欧州社会民主進歩同盟(S&D)」、中道のリベラル会派と共に議会で過半数を占めると予想されている。
選挙当局がまとめた世論調査の平均によると、投票の獲得議席はEPPが180、S&Dは138、リベラル会派が86と予想されている。これにより、主流派連合は定数720議席のうち404議席を獲得することになる。
「緑の党・欧州自由連盟」は56議席と、現在の72議席からの減少が見込まれている。