「続編ヒットしない」定説を破るディズニーの躍進。モアナとインサイド・ヘッド続編ヒットの背景
今年11月の2024年第4四半期(7~9月)決算発表でボブ・アイガー氏は、『インサイド・ヘッド2』などの大ヒットによって、低迷していた業績を好転させたことのほか、この先3年の増益の見通しをアピールしていた。実際に、その直後に公開された『モアナと伝説の海2』は世界中で記録的ヒットになっている。 ■ディズニープラスが浸透 2つ目は、ディズニープラスの浸透によって、ファンが日常的にディズニー作品に触れるタッチポイントができたことだ。言い換えれば、ファンとディズニー作品との距離をディズニープラスが飛躍的に縮めた。
ディズニープラスは2019年11月に北米を中心にスタート(日本は2020年)。現在の世界会員数は1億5000万人を超えている(2024年第4四半期)が、ローンチからコロナ禍を含む5年を経て、気になったときにいつでもどこでもディズニー作品が見られる環境がファンの間で浸透した。 それにより、最新情報などに触れて気になった作品があれば、すぐに配信で視聴する習慣が根付いたのだ。これこそがシリーズ続編が前作を上回るヒットとなる土壌になった。
『モアナと伝説の海』の続編製作が発表されたあと、世界における「2023年の配信サービスで見られた映画ランキング(2023 Top10 Streaming Movies)」(アメリカ・ニールセン調べ)で、前作『モアナと伝説の海』が過去最高となる視聴時間で1位(116億分)にランクインしたことは、それを裏付けている。 さらに、今年5月に『モアナと伝説の海2』予告編が解禁されると、公開後24時間で1億7800万回再生(TikTok、YouTube、X、Instagram、Facebook、Snapchatの累計)され、ピクサー作品を含むディズニーアニメ映画の予告編の最高記録となった。
もちろん前作の作品力が前提になるが、ディズニープラスの浸透によって、ファンと作品がこれまで以上に密接した関係性になり、そこに強い結びつきが生まれていることがわかる。 そして、3つ目がディズニーアニメだからこそ続編がヒットしたこと。もともとディズニーアニメに対するファンの熱量はとりわけ高く、両者の間は、映像作品に限らず、キャラクターやグッズ、音楽、テーマパークなどの体験も含めて、強い愛と絆で結ばれている。