投高打低のセ、パ新外国人トレンド。成否を分けているものは?
各チームに入団した新外国人選手が早くも明暗を分けつつある。 成功の方向性が見えているのが、ヤクルトのブキャナン、横浜DeNAのウィーランド、クライン、抑えのパットン、パでは、中継ぎで起用されている楽天のハーマン、西武のシュリッターの投手7人。野手では、出戻りの巨人のマギーをカウントしなければ、5本塁打、12打点でオリックスの4番としてチームの快進撃を支えているロメロ一人だけだろう。 一方、非常に苦しい立場におかれているのが、打率.130、0本塁打で2軍落ちが決まったロッテのパラデス、ダフィーのコンビに、スタメン落ちを味わった同じく打率1割と2割の間をウロウロしている中日のゲレーロの3人だ。中日は、アラウホ、ロンドンという2人の投手も補強したが、いまだに2軍。1軍にいる外国人枠を押しのけてでも、あがってくるほどの結果を残していない。 ヤクルトの新大砲として獲得されたグリーンも21日のイースタンの楽天戦で2本塁打を放つなど徐々に調子を上げているが開幕メンバーからは外れた。中継ぎ強化に獲得したギルメッドもファームで調整中。 阪神のキャンベルも開幕前に手首を痛めて1軍登録はされなかった。現在、ファームで実戦復帰しているが、まだ1軍デビューを果たしていない。25日の横浜DeNA戦から昇格する予定のようだが出遅れた。 日ハムの左腕、エスコバーも先発した2日の西武戦では5回途中で降板したが、自責点は1、その後2度目の先発前に左太もも裏を痛め登録を抹消された。 オリックスの先発、コークもローテーションには入っているが、2度KOされるなど、まだ日本野球に適応しているとは言えない。昨秋テストから契約した中継ぎのヘルメンは、開幕直後に2軍落ちとなり、もう一人の助っ人、ウエストも、制球力が不安定で2軍調整中。西武では先発候補として獲得した左腕のガルセス、キャンデラリオの両投手が、今のところ1軍戦力にはなっておらずに期待を裏切っている。 どのチームも新外国人へ賭ける比重が大きいため、その成否はチーム成績に直結することになる。ロッテ、中日の下位低迷と、新外国人の不振は深い相関関係にある。 見えてくるのは、投高打低の構図だ。 WBCでの侍ジャパンの戦いを見れば、よくわかるが、ボールを動かしてくるレベルの高いパワーピッチャーの攻略に、日本の一流打者でさえ苦労したが、逆に日本の優秀な投手陣はメジャー軍団を手玉にとった。日本野球での新外国人の成否は、まるでWBCの縮図を見ているようなのだ。 元ロッテの評論家、里崎智也氏は、こんな分析をしている。 「ここ数年で、ある程度、新外国人について成功の傾向は見えていますね。ピッチャーは、長身のパワーピッチャー。野手は、対応力の高いドミニカン。日本では、細かいコントロールが求められますが、ストライクが取れて、ボールに球威と角度があり、しかも、ボールを動かすことができるピッチャーは通用しますね。 阪神のメッセンジャーやソフトバンクのバンデンハークのタイプです。ヤクルトのブキャナン、横浜DeNAのウィーランドらは、150キロ近い力のあるストレートに加えて、ボールを動かすので、通用するピッチャーの条件にあてはまっていますね。ただ、そういうパワーピッチャーはどうしてもフォームが大きいため、クイックやけん制などができずに走られます。その部分を日本でどれだけ学べるかですね」