投高打低のセ、パ新外国人トレンド。成否を分けているものは?
ブキャナンは、球威のあるストレートに、ツーシーム、カットを駆使してヤクルトのローテーションを支えているし、横浜DeNAのウィーランドも対戦チームの打者が打ちあぐんでいる。いずれもパワーピッチャーだ。メジャーでは、ストレート系の平均スピードが150キロを軽く超え、特殊球が2種類はないと厳しいが、平均スピードが2、3キロ遅いレベルのパワーピッチャーは、3Aには比較的多くいて、年俸50万ドル(約5400万円)くらいの選手をプラス3000万円ほどで日本へ呼べる環境にはある。 一方、打者は、当たり外れが大きく、好素材をみつけてくるのは難しい。ある代理人は「3人中一人当たれば成功」と言うくらい、日本で成功する可能性は低い。日本の投手のボールゾーンをうまく使う配球に対応できる柔軟な思考回路を持っているかどうか。そして、得意なコースにきた失投に対しては、打ち損じをしないという確実性とパワーが、成否のカギを握ることになっている。 「僕の理論ですが、成功するパターンは、右打者とタイプの違う左打者のセットです。過去、日本で成功している長距離砲は、阪神のバースのような例もありますが、圧倒的に右打者ですよ。三振率が少ないことが理想ですが、レアードのように明らかに膝下の落ちるボールが打てないのに、打てるコースに来れば見逃さずに決めることのできるバッターは弱点をカバーします。今年のオリックスのロメロなどは、その傾向がうかがえます。彼は追い込まれたらコンパクトにスイングを変え、右方向への打球を意識するなど、日本野球への対応力が見えますが、対戦がひと回りして、ふた回り目から、相手チームの対策が始まりますから、まだ今の段階で結論は出せませんね。今後、どれだけ我慢して対応できるかが重要になってきます。 例えばロッテの不振のダフィーなどは肩が入ってしまってインコースが苦手で、すでにそこを攻められ苦しんでいます。22日のオリックス戦では、外の配球だったのでヒットを打てましたが、今後、どう対応するのかという柔軟性、適応力が必要になるでしょう」 日ハムのレアードも1年目は、34本塁打を打ったが、打率.231と確実性は欠いた。だが、我慢して起用を続けてもらったおかげで、優勝した昨年は、打率.263、39本タイトルホルダーとなった。 パ・リーグの編成担当に話を聴いたことがあるが、メジャーで培ったスタイルを日本流にマイナーチェンジすることのできるバッターと、どこかでプライドが邪魔をしてスタイルを変えることのできないバッターがいて、カウント3-1や、3-2から平気でボールを投げてくる配球が理解できず、「そんなカウントでボールを投げてくるほうが悪い」と、頑固な選手も少なくないという。 そのあたりの考え方が柔軟なドミニカンや、中南米の選手が重宝されて成功する傾向にあるのだが、全員が全員、成功するわけではない。2軍落ちとなったロッテのパラデスはドミニカンだし中日のゲレーロもキューバ出身だ。しかし、里崎氏が指摘するように、まだ今の段階で成否の結論を出すには早い。経験を生かして、どう対応、マイナーチェンジを施すかは、ここからである。