5Gの遅延をほぼゼロに、ソフトバンクが力を注ぐ「SRv6 MUP」の実力を見た
SRv6 MUPの仕組みを簡単に説明すると、遠くにある交換機に接続するのではなく、基地局の近くに設置したルーターに接続することで通信の距離を短縮し、低遅延を図る仕組み。かつて、ソフトバンクがブロードバンドの爆発的な普及に導いたADSLサービス「Yahoo! BB」で用いていた技術と基本的な概念は共通だといいます。
まず、SRv6 MUPではない通常の5G回線を利用して試したところ、遅延の影響で双方の音が明らかにワンテンポほどずれてしまい、楽器を扱い慣れたプロの腕をもってしても合奏を続けるのは不可能でした。 ところが、SRv6 MUPで接続すると音のズレがほぼなくなり、まるでそばにいるように離れた場所のミュージシャンが合奏できました。うたい文句通りの低遅延が、実際の合奏で確認できたわけです。
■低遅延は自動運転やライブ配信、VRなどの分野で生きる SRv6 MUPの本格導入はまだこれからで、いざ導入されても一般ユーザーがふだんの利用で体感できるほどの変化はほぼないとみられます。しかし、自動運転やライブ配信、VR、遠隔医療など特定分野の活用では欠かせない技術進化であるため、それらの分野では体験や機能の向上が得られることになりそうです。モバイル回線はエリアやつながりやすさ、通信速度だけが注目されがちですが、5Gのポテンシャルを底上げするこのような技術改良が進められていることも知っておくとよいでしょう。
磯修