逆転サヨナラ打、スタンドの拍手が後押し 明徳義塾の4番・新沢 センバツ交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第1日の10日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であり、第2試合は明徳義塾(高知)が鳥取城北に6―5で逆転サヨナラ勝ちした。 【明徳義塾―鳥取城北】熱戦の様子を写真特集で 鋭い打球が右翼手の頭上を越えていった。明徳義塾の4番・新沢が放った逆転のサヨナラ三塁打。「最後にチャンスが来ると信じていた」。集まったナインにもみくちゃにされ、勝利の喜びを分かち合った。 1点を追う九回2死一、二塁の場面で打席に立つと、鳥取城北はこの回から登板した3番手右腕・中川に代わり、2番手で登板した背番号「1」の左腕・阪上をマウンドに戻した。不利とされる左対左の対決にも、新沢はむしろ歓迎だった。「前の打席でもヒットを打っていた。絶対に打てる」。初球の外の変化球を余裕をもって見逃すと、鳥取城北の捕手・安保は「外への厳しい直球で様子見」とサインを出した。これが真ん中高めに甘く入ったところを、勝負強さが売りの4番が逃すはずもなかった。 七回まで無安打に抑えられる苦しい試合だった。鳥取城北の先発を阪上と想定して対策を練ってきたが、登板したのは右腕の松村。「直球に押されて打ちにくかった」。ようやく代わった阪上から、八回に自身の左前打を足掛かりに2点を奪い、九回の逆転劇につなげた。 スタンドに座ったのは控え選手や保護者らに限られたが、「打席での拍手が後押ししてくれた」と新沢。昨秋の四国大会から背番号3を背負い、チームトップの打率4割5分8厘をマークした好打者が、最後の夏を最高の試合で締めくくった。【伝田賢史】