リクシル・瀬戸欣哉社長インタビュー、「極端な需要が社会ニーズをつかむ」
リクシルはSATOというソリューションを持っていたので、この課題の解決に取り組むことを決めました。SATOはシンプルな構造ですが、カウンターウェイト式の弁が開閉し、この弁が蓋の役割を果たし、悪臭や病原菌の媒介となる虫の進入を防ぎます。 バングラデシュで2013年からこの活動を始め、SATOを販売するだけでなく、現地のNGOなどと組んで衛生改善の啓発にも取り組んでいます。 すでに政府は屋外排泄もなくなったと公表しています。一定の成果を挙げられたと考えています。 ――SATOは安価な価格帯が特徴ですが、バングラデシュでは19年に事業単体での黒字化を達成したものの、その後、コロナなどの影響を受けるなど、安定的な収益を確保するには課題があるではないでしょうか。それでもこの事業を続ける意義をどう考えますか。 45カ国でこの事業を継続していることが、リクシルを一つにしています。リクシルは世界のトイレメーカーの中で、唯一数ドルのトイレを販売しています。数ドルなので、百万台売っても、百万ドル程度にしかなりません。 それでも続けるのは、それなりの意味があるからです。環境や社会の課題に対して、真剣に向き合うという社内外への意思表示でもあります。 それだけではなく、製品の開発段階で差別化を常に考えています。SATOのような簡易式トイレだけでなく、リサイクルアルミ100%を使った低炭素型のアルミ形材「プレミアル」などです。 環境や社会課題の解決につながる製品の売上高を2030年には、全体の半分を占めるようになりたいと考えています。 そうすると、そのインパクトそのものが、差別化につながり、社会から選ばれるようになります。会社としては利益が上がり続け、持続可能な経営に直結します。 バングラデシュでもこういった考えのもと事業を続けています。 ――社会課題起点で事業を考える、「アウトサイド・イン」の視点で製品を企画しているのですね。 私は社内で、エクストリームユーザー向けのマーケティングを強化するよう指示しています。エクストリームユーザーとは、「極端な需要」という意味です。 つまり、極端な需要に応えることで、誰にとっても使いやすい製品になるという考え方です。この考え方は、社会ニーズを見出すアウトサイド・インと同様だと思います。 *この続きはオルタナ・オンラインでお読みください。 この続きは) ■メーカーの最大の課題は、コモディティ化 ■管理職が部下と本当に向き合ってこなかった ■「スクラム型の働き方」がエクイティを高める