健康診断での「視力検査」…どんな基準から「視力1.0」と言っているか、あなたは知っていますか?
覗き込むだけで視力を測定できる機械
Aは「健常視力」で、Bは「教室のいちばん後ろからでも黒板の字が見える視力」とされています。先生によって黒板に書く文字の大きさが違うので、見えにくい文字の先生もいるはずですが、そんな細かいことまでは決まっていません。CやDになると、メガネなどが必要になります。また左右差がある場合は、やはり視力矯正が必要になるかもしれないので、眼科を受診したほうがいいでしょう。 「両眼視力」つまり両眼で見たときの視力も大切です。普通は片眼視力よりも良くなります。左右とも0.7くらいでも、両眼で見れば1.0というひとは、よくいます。 自動車免許(普通一種)の視力は「両眼視力で0.7以上」となっています。もちろん矯正視力で構いません。しかし高齢ドライバー(70歳以上)の視力検査では「動体視力」も測定しています。 動体視力といっても何種類かありますが、高齢ドライバーに課せられているのは、前後方向の動きを識別する動体視力検査です。測定装置を覗き込むと、遠方からランドルト環が近づいてくるので、切れ目が開いている向きが分かったところでボタンを押します。できるだけ遠くのところで正解できればいいわけです。 最近の眼科では「オートレフラクトメーター」という装置が普及してきました。覗き込むだけで近視、乱視、遠視を数十秒で判定できるという優れモノです。以前は精度が悪く、参考程度と言われていましたが、最近はかなり改善されてきています。 ランドルト環より手間がかからず、同等の精度が出て、しかも遠視まで分かるので、今後は健診や人間ドックでも取り入れられていくことでしょう。 『失明の危険性もあるというが...「眼底検査」で異常あり、毎回再検査すべきか? 』へ続く
永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授)