「いったいどんな学校なんだ?」エナジック、ウェルネス…甲子園出場目前、躍進が続く通信制高校に注目だ!【2024夏甲子園豆知識】
この夏、沖縄大会の決勝に進んだエナジックスポーツ高等学院。惜しくも興南に敗れたが、その名前は大きくクローズアップされた。長らく沖縄の私立校は、ともに全国制覇の実績のある沖縄尚学と興南の存在しか知られていなかった。そこへ、突如として現れたエナジックスポーツ。「一体、どんな学校なんだ」と、全国の高校野球ファンの間で話題になった。 【トーナメント表】沖縄大会決勝まで勝ち進んだエナジックの軌跡
沖縄の名将が率いるエナジック
エナジックスポーツは2022年に野球とゴルフに特化した通信制スポーツスクールとして名護市に設立された。母体は地元では知られている学校法人大城学園である。現在は全日制普通科も併設している。学科としてのスポーツコースではなく、まさにその競技のスペシャリスト育成の色合いが強い。寮も完備されており、野球部員は全員全日制となっている。午前中は通常授業を受け、午後には多くの時間を競技に注ぐことができるシステムになっている。また、国際舞台で通用するコミュニケーション力もつけるという方針で、英語授業には力を入れているという。 野球部を率いるのは、学院副院長でもある神谷嘉宗監督だ。沖縄県の公立校で長く指導をしてきて、2008年夏には浦添商を甲子園出ベスト4まで導いている。その後異動した美里工でも2014年にセンバツ出場。機動力を重視したノーサイン野球を提唱している。 興南と沖縄尚学という2強が存在する沖縄県にあって、新興勢力としてどこまで力を発揮できるか、今後も注目される。学校としては今後、野球・ゴルフに加え、駅伝や卓球、ボーリングなどにも力を入れていきたい方針だという。 チームの一期生となる強肩捕手・龍山 暖(3年)がプロ志望を表明した。甲子園出場は叶わなかったが、3年目にして初のプロ野球選手が誕生しようとしている。
全国常連になりつつあるクラーク、各系列でプロ野球選手が誕生しているウェルネス
エナジックスポーツをはじめとして、現在の高校野球には甲子園を目指す通信制高校がいくつかある。昨年、春夏連続出場をはたした北海道のクラーク記念国際もその一つだ。 これまで春2回、夏2回の甲子園出場実績を誇っている。 クラーク記念国際は1992年に開校して全国にキャンパスを所有している。キャンパスごとに生徒の個性を尊重していくという方針で、不登校の生徒なども幅広く受け入れるなどと、様々な取り組みを行っている。 野球部は2014年、甲子園出場を目指して深川キャンパスに創部された。駒大岩見沢を率いて甲子園に12回出場した佐々木啓司監督を招聘。早くも2年後の夏に北北海道大会を制して甲子園出場をはたした。その後も、北海道内では強豪校として上位の常連である。今夏も決勝進出を果たしたが、白樺学園に敗れて3度目の甲子園出場は逃しているが、十分に存在感は示した。同校の仙台キャンパスには女子硬式野球部があり、全国大会にも出場するなど、女子として硬式野球に力を入れている。 学校法人タイケン学園が母体の日本ウェルネス東京も通信制高校で、東東京大会に出場している。2023年には5回戦進出を果たすなど着実に力をつけている。同校OBには2020年西武1位の渡部 健人内野手がいる。 全国各地に系列校があり、日本ウェルネス茨城が、この夏の茨城県大会夏3回戦まで進出している。宮城県の東松島市には日本ウェルネス宮城があり、昨年、長身投手の大内 誠弥投手が楽天7位指名を受け、初のプロ野球選手を誕生させている。沖縄にも日本ウェルネス沖縄があり、20年春の県大会でベスト4入りしてからは県内上位の常連だ。23年夏は準優勝、今年もベスト4入りし、昨年はワォーターズ璃海ジュミル内野手が楽天から4位指名を受けた。長野では日本ウェルネス長野が活動し、甲子園14勝の中原英孝氏が23年まで監督をしていた。赤羽 由紘内野手(ヤクルト)は同校OBである。