なぜ浦和レッズの興梠慎三は8季連続2桁得点のJ1新記録を達成できたのか?
これまでのJ1記録はFWエジミウソン(現レッドブル・ブラジル)がアルビレックス新潟とレッズでプレーした2004-10年にかけて、FW佐藤寿人(現ジェフユナイテッド千葉)がサンフレッチェ広島で2009-15年にかけてそれぞれマークした7シーズン連続だった。 興梠は宮崎県の強豪・鵬翔高から2005年に鹿島アントラーズへ加入。2012シーズンに3年ぶりの2桁得点となる11ゴールを決め、翌2013シーズンからレッズへ移籍。新天地でもコンスタントにゴールを量産してきた軌跡と同じく特筆されるのが、大きなけがとは無縁の頑丈な体である。 記録がスタートした2012シーズン以降で、年間に34試合を戦うリーグ戦の出場試合数が30を下回ったのはわずか一度だけ。第25節を終えた今シーズンも欠場は1試合だけで、レッズのフィールドプレーヤーではDF槙野智章(32)の2160分間に次ぐ、2000分間のプレー時間を誇っている。 まさに“無事之名馬”の秘訣を聞くと「日ごろの行いがいいからじゃないですか」というジョークに加えて、苦笑いしながら何とも意外な言葉を返してきた。 「特にないです。好きなものを食べるくらいですね。脂ものなどを気にせずに食べる、というのが一番いいのかな。よくわからないですけど」 身長175cm体重72kgと決してサイズは大きくない。それでも常勝軍団アントラーズ、そして強豪レッズでレギュラーを譲らなかった理由は、2016年のリオデジャネイロ五輪で興梠をオーバーエイジ枠で招集した、手倉森誠監督(現V・ファーレン長崎監督)の言葉を聞けばよくわかる。 「体のしなやかさと、野性味あふれるプレーを繰り返し発揮できるタフさを同居させている。ポストプレーも相手の最終ラインの裏へ抜け出すプレーもできるので、引いた相手に対する攻撃とカウンター攻撃の両方に対応できる。身体能力の高い相手に対しても、彼の体のしなやかさは効果的だと思う」