荒川ナッシュ医による国内初の美術館個展が国立新美術館で開催へ
東京・六本木の国立新美術館 で、パフォーマンス・アートを発表してきた米国在住のアーティスト・荒川ナッシュ医による国内初の美術館個展「ペインティングス・アー・ポップスターズ」が開催される。会期は10月30日~12月16日。 荒川ナッシュ医は1977年福島県いわき市生まれ。98年からニューヨーク、2019年よりロサンゼルスに居住する米国籍のクィア・パフォーマンス・アーティストだ。様々なアーティストと共同作業を続けながら、「私」という主体を再定義し、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン、大学院アートプログラム教授。 本展では、「ペインティングス・アー・ポップスターズ」というタイトルのもと、ひとりのアーティストによる個展でありながら、荒川ナッシュに協力する20数名の画家による絵画が会場内に「登場」。それぞれの絵画を存在感のあるポップスターとみなし、荒川ナッシュはその絵画のアティテュード(姿勢)から発案された協働パフォーマンスを発表するという。 展示アーティストは、ミヨコ・イトウ、桂ゆき、河原温、国吉康雄、丸木俊(赤松俊子)、アンリ・マティス、ルイス・ニシザワ、白髪富士子、田中敦子、吉原治良 などの20世紀の画家から、 ケルスティン・ブレチュ、レイディ・チャーチマン、ニコール・アイゼンマン、ユタ・クータ、南川史門、オスカー・ムリーリョ、シルケ・オットー=ナップ、ローラ・オーエンズ、ゲラ・パタシュリ、セス・プライス、トレバー・シミズ、エイミー・シルマン、八重樫ゆいなどの現代画家まで。ほかにも、映像作家・斎藤玲児、デザイナー・森大志郎も、本展に参加する。 会場では、2021年にロンドンのテート・モダンで発表された、美術館の床に来館者が自由に絵を描ける参加型の作品《メガどうぞご自由にお描きください》からスタートし、アート活動と子育ての両立にまつわる絵画の空間、絵具をトリートメントとして使うクィアな美容アクション映像、都市と色のスペクトラムに関する作品、絵画たちが交互に歌うかのような空間、20世紀の戦争や移民画家の歴史と国立新美術館の空間を結ぶ作品、福島やドイツの空を飛ぶ凧絵画、そして絵画が哲学を語りかけるクラブのような空間などが続く。 また、子供、絵画、歴史、音楽、身体、会話、そしてユーモアがアンバランスに作用しあう本展では、同館の天井高8メートル、床面積2000平方メートルの空間で、荒川ナッシュとその協働者によるライブ・パフォーマンスが定期的に開催。「新美に来る観客と出会いたい」という荒川ナッシュによる、「短くも親密な」展覧会ツアーも実施予定となっている。 国立新美術館ではパフォーマンス・アーティストの大規模な個展が初めてだという。心のどこかにあったのは、2011年の高嶺格展、近年のdumb type展やChim↑Pom展の存在、今年の夏の内藤礼展や島袋道浩展。白川昌生さんの言う日本のパフォーマンスの「うねり」がZ世代も続きますように! そして国立の美術館では施工屋さんの入札のために、半年前には細部まで決定しないといけない難しさがある。ストレスフルな矛盾が生まれたらどうしよう。なぜならパフォーマンス・アートは実際に始まってみて、観客の前で生成中に成長するのです。 わたしの人生で間違いなく一度きりのこの展覧会。 ユーモラスにお届けしたい! 荒川ナッシュ医 (プレスリリース「作家コメント」より抜粋)