映画『若武者』を世界同時公開&配信開始…「New Counter Films」が切り拓く新しい邦画製作のカタチとは
製作資金が集まりにくい理由
――New Counters Filmsで製作する映画は関さんが代表を務める株式会社コギトワークスとU-NEXTで50%ずつ出資するとのことですが、映画業界以外からの出資についてはどのように考えていますか。 関: 80年代90年代には、テレビ局が製作委員会方式を採用して「南極物語」(1983)を大ヒットさせたり、大手映画会社が匿名投資組合を組んだりしていましたが、バブルが弾けて以降は、他の業界からの出資はあまり集められていないのが現状だと思います。 その障壁の1つは、「製作委員会方式」だと考えます。通常は映画会社や出版社、テレビ局、新聞社、広告代理店などの4,5社が参画します。ある種特殊な関わり合い、構造のなかでの座組なので、他業界の人が入りにくいし、入れたがらないという側面があります。 それから、窓口権の問題もあります。「国内配給権」「国内配信権」「国内ビデオ化権」「海外販売権」など、その業務を行う出資社に対して「窓口手数料」が発生します。 売り上げの半分は劇場に入り、もう半分の中から各種手数料が差し引かれ、残りが製作委員会の収益となります。それを出資に応じた額で分配するというシステムになっている。そうすると、投資家からは魅力のない商品に見えてしまうので、やはりこのシステムを変えないと業界外からの資金を呼び込むことは難しいと思います。 そういうこともあって、New Counter Filmsでは配給業務を自分たちでやることにしました。例えば、1000万円の予算に対して100万円を出資した人がいて、1億円の売り上げが出た場合、劇場が5,000万円を持っていきます。そして、その残りの10分の1が投資家に還元されるというシステムにしたいと。 配給を外部の会社に委託すると、手数料を支払わなくてはなりませんが、自主配給であれば、その必要はありません。最初から利益を山分けしようという発想です。そういう発想であれば、投資もしやすくなるのではないかと思っています。