映画『若武者』を世界同時公開&配信開始…「New Counter Films」が切り拓く新しい邦画製作のカタチとは
新たな出資・宣伝方法を模索
――将来的には製作委員会が採用している「組合」ではなく、出資者同士の横のつながりが要求されない匿名組合の形で出資を募ることも考えているとのことでした。 関: 今までの方式だと、出資者に横のつながりが要求されますが、匿名投資組合の形だと事業者と出資者との関係だけで投資が成り立つので、お金が集めやすい。ある意味、クラウドファンディングに近いです。この方式ならば映画業界の外からも出資しやすいのではと。 クラウドファンディングを何度か経験していますが、「こういうことをやりたい」という意思表明をすると、賛同して出資する人がいる。とてもシンプルで健全なシステムだと思いました。やはり、ビジネスはシンプルであればあるほど強い。仲介をなくして「B to B to C」ではなく、「B to C」が今の映画界には必要であると感じています。 なので、海外での劇場公開についても、劇場と直接交渉をしてセールスカンパニーを入れない方向で考えています。仲介をなくし、ビジネス構造をシンプルにすること、謂わば「farm to table」を実現することで、その収益の分配も増えると考えています。 また、現在はYouTubeを使って毎週情報発信をしています。例えば登録者数が10万人いれば、10万人に直接届けることができる。オウンドメディアを拡充することで、事前にレーベルにファンを作り、劇場の動員に繋げられるようにしたいと思っています。 それがNew Counter Filmsの目指すプロセスエコノミーだと思います。完成品だけではなく、制作過程を売る。生産者の思いを理解してもらう場所として、Youtubeは続けて行きたいです。
劇場と配信の共存共栄を目指す
――U-NEXTさんと組み、最初から動画配信をするとのことでした。 関: 1次利用が劇場、2次利用が配信ではなく、相乗効果で興行収入が良くなるのではという思いがありました。 特にU-NEXTさんは他の配信サービスと比べて、邦画のラインナップが一番豊富な会社なので、「日本発の作品を」「日本人でがんばりたい」という思いが近く、またお客さんの層も似ています。 それで、お声掛けをしたところ、国内のミニシアターを応援する試みであり、作り手たちに成功報酬を還元する点においてとても意義のあることだと言って頂けました。「劇場がなくなってしまうと、自分たちが配信しているものはただの映像になってしまう」と。 配信されている動画が「映画」という価値を持っているのは、劇場あってのことなので、劇場には存続して欲しいし、敵対するのではなく、応援したいとのことでした。