フェイスリフトされて登場した2代目MINIは、さらに「MINIらしく」なっていた【10年ひと昔の新車】
MINI専用に開発されたBMW製の新しいディーゼルエンジン
2010年9月、欧州で2代目MINIのフェイスリフトが発表され、新しい顔が与えられたMINI、MINIクラブマン、MINIコンバーチブルが登場した。まったく新しいBMW製ディーゼルエンジンの搭載も大きな注目を集めた。Motor Magazine誌ではフェイスリフトされたばかりのMINIクーパーDカブリオレにドイツで緊急試乗し、日本導入を前にその試乗テストの模様を伝えている。今回はその時の記事を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年10月号より) 【写真はこちら】 フェイスリフトといってもその変化はそれほど大きなものではなくMINIのテイストが継続的に生かされている。テールライトはユニット内にあった横長のリバースランプが廃止されている。(全5枚)
早いものでBMWのMINI、いわゆるニューMINIの登場から今年でもう9年が経過する。この間にニューMINIはクラシックミニに負けないほどのプレゼンス、つまり存在する意味と場所を見つけたようである。 それゆえに今回行われたフェイスリフトはデザインに大きな変更を与えるものではなく、内包する技術的なアップグレードと解釈するのが正しい。 もっともフロントバンパーの形状変化は実は新しい歩行者保護対策というレギュレーションに起因するもので、デザインのためのデザインではない。同時にLEDによるデイドライビングライトも同じく法的な要求によるものであることはお知らせしておきたい。 また技術的なものと言っても、パワープラントにおいては今年初めにガソリンエンジンの改良が行われたので、今回のフェイスリフトでの注目点はまったく新しい2基のBMW製ディーゼルエンジンの登場である。PSAから離れて開発されたMINI専用のBMWディーゼルエンジンは、排気量1.6Lの4気筒で2種類のチューニングが用意されている。 最高出力90psと最大トルク215Nmという旧PSAエンジンとまったく同じスペックを持つディーゼルエンジンは、MINI ONE Dへ搭載され、走行性能には変化はない。 一方、クーパーD用に用意されたバージョンは、最高出力112ps/最大出力270Nmを発生するが、これは旧エンジンよりもパワーでプラス2ps、トルクでプラス30Nmほど強力になっている。 このクーパーDにおける変更の理由は、これまでのモデルに搭載されていたエンジンの低回転付近でのトルクが〝やや頼りない〟という声が上がってきたことに対応したものである。 確かに改良されたエンジンでは、低回転域でも十分なトルクがあり、シフトダウンすることなく高いギアでもそのままアクセルペダルを踏み込めば他をリードするほどの加速力が得られるようになった。またこの改良は単にドライバビリティの向上だけでなく、燃費の改善にも役立っている。 改良されたディーゼルを搭載したMINIクーパーDの燃費はBMWの発表によれば100km走行で3.8Lを消費、 CO2の排出量は99g/km を記録している。これはそれぞれ約5%の向上となっている。また排出ガス規制値は両エンジンともに現時点でもっとも厳しいユーロ5をクリアしている。