落合陽一氏が「AIフェスティバル 2024」で語ったデジタルと自然の融合 なぜ「そして神社を作る」なのか
生成AIとビジネスの“いい感じの関わり”とは?
続いて、会場では「ビジネスとしての生成AI」と題したトークセッションが行われた。登壇したマヨラボ 共同代表/CEOの片岡翔太郎氏は、AIが発達し続けているおかげで、「これまで登記のことなど事務作業が面倒で、能力はあるのに起業しなかったような人でも、事務作業を請け負うAIエージェントにより、起業しやすくなるのでは?」と展望を述べつつ、「AIを活用したツールの作成や、世界に通用するIPの多さなどの分野で日本は強いので、どんどん起業してほしい」と来場者にエールを送った。 ファシリテーターのAINOW編集長 小澤健祐氏は「取材前に、AIが対象者の好みなどを把握し、質問項目をある程度作ってくれるようになるのではないか」と期待する。 AI CROSS 代表取締役CEO 原田典子氏は「自分の講演を全てテキスト化し、プールしておいて、質問を投げかけるだけで言いたかったことを言語化できるようになった。質問するだけで原稿が完成するようになるのかも?」と語る。 最後にIT批評家 尾原和啓氏は、「論理的な壁打ちはAIに任せれば良い。それらがスピードアップして取り組み、人間側はそれを消化して直感を磨いていけば良い。最終判断を下すのは人間の仕事なのだ」と締めくくった。
エッジAIの進歩を感じさせる展示も
会場には、協賛会社による展示ブースも開設されていた。 インテルでは、エッジAIを生かしたフリーソフト「OpenVINO ツールキット」のデモンストレーションを行っていた。 AI PCのカメラが捉えた映像をリアルタイムで解析し、骨格の重畳表示を行うというものだ。カメラが捉えた人たちの頭/肩/肘/腰/膝などとそれぞれをつなぐ線がディスプレイに表示されるのが、見ていて楽しい。モーショントラッカーをつけることなく、無料でここまで解析できるのかという驚きもあった。 担当者は、「今回の展示のため初めて触ってみたが、意外なほど簡単に実装できた。これを元にしてアニメーションを作るなど、さまざまな展開が望めそうなので、興味のある人はぜひやってみてほしい。無料ですし」と語っていた。 日本マイクロソフトでは、THIRDWAVEブランドのCopilot+ PCを展示していた。一般的なビデオ会議ツールには、背景ぼかしやバーチャル背景を表示するような機能があるが、Copilot+ PCではエッジ側(OS標準の「Windows Studio Effects」)で処理できる。PCに搭載されるNPUを使うため、遅延のない処理、消費量の少ない電力などのメリットも得られるという。 「2024年内には、PC上で作業したありとあらゆることを振り返ったり検索したりできる『リコール』や、Windows標準アプリで不要なオブジェクトを消せる『コクリエイター』、ビデオ会議の音声をリアルタイム翻訳して(現在は英訳のみ対応)字幕表示する『ライブキャプション』など、NPUを活用したAI機能で、ビジネスが加速する仕組みを搭載予定です」と担当者が語っていた。 もちろん、主催のサードウェーブもCore Ultraを搭載したTHIRDWAVEブランドの法人向けノートPCや、ビジネス向けミドルタワー「raytrek 4C」などを展示していた。 その他、「第三回AIアートグランプリ」ノミネート作品や24時間AIハッカソンの各会場優勝チームの展示も行われていた。 今回の展示作品は、もともと絵心がある、才能がある人の作品かもしれないが、最新の画像生成AIでは、ラフスケッチでもそれなりのイラストに仕上げてくれる。落合氏が語っていたように、「誰もが酒のつまみを作るかのように」コンテンツを作る――そんな未来がもうそこまで来ているのかもしれない。
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