BIPOC支援のフィアレスファンドが提訴される。DEIに関してブランドと小売企業が知っておくべきこと
1981条に基づく契約であるかどうか
この訴訟がどのように展開するのか、最高裁判所までもつれ込むかどうかを業界が見守るなか、ブランドや小売業者はこの訴訟から得られる教訓に留意するかもしれない。「人種に焦点を当てたプログラムは、より厳密に精査される可能性があるといっても過言ではなく、特に助成金が1981条に基づく契約と解釈される可能性がある場合には、この流れに沿った訴訟が増えることが予想される」とボナー氏は述べた。 多くの識者が予測しているように、この事件は美容業界を含むDEIプログラム全体への冷却効果のほんの一部だが、一時的な反発にすぎないという主張も多い。ではブランドや小売業者は、自社のDEIイニシアチブのリスクを軽減しながら、どのようにして自らの価値観を守ることができるのだろうか? 「フィアレスファンドの判決は国全体を拘束するものではなく、必ずしもほかの連邦裁判所の考え方を反映するものでもない」とボナー氏は述べた。「とはいえ多様性を推進する、あるいは不利な背景を持つ人々を支援することを重視するブランドや小売業者が、より狭い保護された階級に基づくものではなく、もっと幅広い応募者にプログラムを開放するということは考えられる」。
人種に特化しない、将来のDEIプログラム
ブリックビジネスロー(Brick Business Law)の弁護士、ケヴィン・ズウェッチ氏は、「大学入試をめぐる最高裁の判例は、法的な展望についての重要な決定だった」と米Glossyに述べた。「差別法は進化しているようなもので、ある状況下での法の進化と適用だと私はみている」。 法律の専門家は、変化する状況に対してどのDEIプログラムが調和しうるのか、あるいは調和させるべきなのかを判断するには、弁護士に相談するのが賢明であるという意見に同意している。「(美容業界などにみられる)これらの問題は、特に組織レベルではピンポイントで特有のものだ」とズウェッチ氏は言う。つまり、企業がどの程度リスクを回避するか、そしてDEIが企業のミッションにどのように適合するかは、社内の意思決定に影響を与えるべきである。 「(将来のDEIプログラムでは) ある程度、人種に特化したものは少なくなり、多様性に焦点を当てたり、昔から排除されてきた、あるいは無視されてきた声を促進することに焦点が絞られるようになるかもしれない」とボナー氏は言う。すなわち、社会経済的地位、高等教育へのアクセス、場所、および法律の下で保護された、階級とはみなされないそのほかの要素に基づいたものとなるかもしれない。 [原文:Beauty & Wellness Briefing: DEI is changing ─ here’s what brands and retailers need to know now] LEXY LEBSACK(翻訳:Maya Kishida、編集:戸田美子)
編集部