【詳細レポート】フェルスタッペン、セーフティカー&ペナルティ連続の大波乱レースも盤石V。ノリス黄旗無視で下位転落……角田裕毅13位|F1カタールGP決勝
12月1日(日)に行なわれたF1第23戦カタールGPの決勝レースでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。RBの角田裕毅は13位だった。 【リザルト】F1 2024 カタールGP決勝 舞台はルサイル・インターナショナル・サーキット。現地はすっかり日が暮れ、決勝レースが開始される19時を前にした時点では気温19度、路面温度23度と肌寒い状況だった。 前日の予選ではフェルスタッペンが最速タイムを記録したものの、不必要なスロー走行により1グリッド降格ペナルティ。代わってメルセデスのジョージ・ラッセルがポールポジションにつけた。 フェルスタッペンはフロントロウ2番グリッドからのスタート。コンストラクターズタイトル獲得を王手にかけるマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリが2列目に並んだ。 スタートでは、ほとんどがミディアムタイヤを選択。ラッセルとフェラーリ勢は1周の皮むきを行なったユーズドタイヤを履いた。 57周の決勝レースがスタートすると、フェルスタッペンとラッセルが横並びでターン1へ。ブレーキングでフェルスタッペンが一歩抜け出し、首位に立った。ラッセルはイン側からノリスにも交わされて3番手に後退した。 後方では、アルピーヌのエステバン・オコンとウイリアムズのフランコ・コラピント、唯一のハードタイヤスタートだったハースのニコ・ヒュルケンベルグが交錯するアクシデントが発生。イン側を走るヒュルケンベルグは右フロントタイヤから煙が上がった途端にスピンを喫し、並んで走ったオコンとコラピントがもらい事故を食らった格好だ。 この直後には、アストンマーティンのランス・ストロールがウイリアムズのもう1台に乗るアレクサンダー・アルボンに追突。後に接触の原因を作ったとして10秒のタイム加算ペナルティが科され、これを消化した後にリタイアを選んだ。 早速のアクシデント発生によってオコンとコラピントがマシンをランオフエリアで止め、セーフティカー(SC)出動となった。 レースは5周目から再開。フェルスタッペンを先頭にレーシングスピードに戻っていった。後方を走るRBのリアム・ローソンは、キック・ザウバーのバルテリ・ボッタスにターン1で仕掛けた際にスピンを喫したが、走行を続けることができた。 先頭のフェルスタッペンはファステストペースで2番手以下を引き離し、1.5秒から2秒程度までノリスとの差を築くとペースをコントロール。ノリスもつかず離れずの差で続いた。3番手ラッセルはトップ2台についていくことができず、後方からピアストリの接近を許した。 上位勢で最初に動いたのはラッセル。23周目終わりにピットへ飛び込んだ。ただ、ピットクルーがハードタイヤへの交換に手間取り、5秒ほどタイムをロスしてしまった。 ラッセルを追いかけ回していたピアストリは、これに反応することなくペースアップ。直後を走るフェラーリ勢もステイアウトを選んだ。コース上を走行するマシンのタイヤにはデグラデーション(性能劣化)の傾向は一切見られず、周回を重ねるごとにペースが上がっていく状況だったのだ。 しかし35周目にはメルセデスのルイス・ハミルトン、フェラーリのカルロス・サインツJr.の左フロントタイヤが立て続けにパンク。レース2度目のSC出動となった。 ステイアウトを選んでいた上位勢もこれを機にピットに入りハードタイヤへ交換。なお、ラッセルもここで新品ハードタイヤにもう1度履き替えたが、ドライバーとしては納得がいかない判断だったようだ。 この前には、ホームストレート上にアルボンの右ミラーが脱落し、ボッタスが踏みつけてしまったことでデブリが散乱していた。SCラン中にはこのデブリも回収されたようだ。 レースは40周目から再開となったが、各車がレーシングスピードへと戻っていく直前にペレスがマシンの駆動を失ったとしてターン15の先でストップ。レースはそのままリスタートが切られたが、ヒュルケンベルグも単独スピンを喫してターン10のグラベルトラップで止まったため、このレース3度目のSC出動となった。 これで5台がレースから姿を消した。なお、ペレスは危険なドライビングをしたとしてレース後に審議が行なわれることになった。 レースは43周目から仕切り直し。フェルスタッペンが3度目のリスタートでも先頭を維持し、ノリスにはひとつ前のリスタートでポジションを上げたルクレールの攻撃を凌いだ。 しかしそのノリスには、ミラーがホームストレート上に落ちていた際に提示されていたイエローフラッグ区間でスローダウンしなかったとして10秒のストップ&ゴーペナルティが科され、これを消化したことで最後尾まで転落した。 直近のライバルが消えたフェルスタッペンは2位以下に6秒のギャップを築いて悠々のトップチェッカー。今季9勝目をポール・トゥ・ウィンで決めて見せた。2位はルクレール。3位となったピアストリを0.788秒差で抑えきった。 4位はラッセル。SC中の手順違反によって5秒のタイム加算ペナルティを科されたが、後方とギャップを築いていたため、順位を維持することができた。 5位にはサインツJr.を抑え込んだガスリー。サンパウロGPでのダブル表彰台に次ぐ大量得点をチームに届けたことで、アルピーヌはコンストラクターズランキング6番手に浮上したばかりでなく、ハースとRBに大きな差をつけた。 7位にはアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ。8位にはキック・ザウバーの周冠宇が入り、チームに今季初ポイントを届けた。 9位にハースのケビン・マグヌッセンが入った。ノリスは入賞圏内の10位まで巻き返し1ポイントを手に、さらにファステストラップのボーナスポイント1も獲得。しかし今回はフェラーリの方が多くのポイントを獲得したため、コンストラクターズタイトル争いの決着は最終戦アブダビGPに持ち越された。 今回のカタールGPはペナルティ続発のレースとなり、ハミルトンはスタートでのフライングで5秒のタイムペナルティを受けた上に、ピットレーンでのスピード違反によりドライバースルーペナルティも科されたことで、ボッタスの後ろ12位でのフィニッシュとなった。 角田は最終的に13位。14番グリッドからスタートで一気に10番手まで浮上し、リスタートで9番手に上がったものの、後続を引き離すほどのペースはなく、集団戦の中でズルズルとポジションを落とすレース展開となった。 レース後半に入った時点で入賞圏外まで落ちていたため、RBは3度目のSC出動の際にチームメイトのローソンと共に角田にソフトタイヤを履かせた。隊列の最後方から追い上げることを狙ったが、この戦略は上手く機能せず、角田が13位。ボッタスとの接触で10秒ペナルティを科されたローソンも14位となった。マグヌッセンとの接触により10秒ペナルティを受けたアルボンが完走した中では最下位となる15位となった。
滑川 寛