カギはマシンの信頼性。学びの一年を経てアルピーヌが目指す進化「来年は上位で戦いたい」とラピエール/WEC
ニコラ・ラピエールは、今季2024年からWEC世界耐久選手権のトップカテゴリーに復帰したアルピーヌが、『A424』の2年目にはベンチマークメーカーと戦えるポジションを目指さなければならないと語った。 【写真】アルピーヌA424とBMW MハイブリッドV8のバトル WECサンパウロ6時間レース 今シーズン、アルピーヌは開幕から5レースを終えてマニュファクチャラーズ・ランキングで4位につけており、ポルシェ、トヨタ、フェラーリのトップ3に続く“ベスト・オブ・ザ・レスト”の座をBMW、プジョー、キャデラックと争っている。 オレカベースのLMDhマシンである『アルピーヌA424』のこれまでの最高成績は、ポール・ループ・シャタン/フェルディナンド・ハプスブルク/シャルル・ミレジ組の35号車がデビュー戦となった開幕戦『カタール1812km』で記録した合7位だ。 しかしラピエールは、アルピーヌは来年も同じようなパフォーマンスで満足することはできないと言う。2025年には、このフランスのブランドは『初年度である』という言い訳ができなくなるためだ。 「競争は本当にタイトなものだが、明らかに来シーズンは先頭に立つために戦いたいと思っている」とラピエールはSportscar365に語った。「クルマもチーム運営も今よりさらに良い準備ができるようにし、上位を争うことが目標だ」 「トヨタ、フェラーリ、ポルシェが非常に強く、多くの経験を持っていることは知っている。だが、来シーズンは彼らと確実に戦いたいと思っているんだ」 ル・マン24時間レースでは、ラピエールがマシュー・バキシビエールとミック・シューマッハとシェアする36号車でハイパーポールを逃した一方、姉妹車の35号車が最終予選に進み5番グリッドを獲得。決勝は2台揃ってエンジントラブルに泣いたが、インテルラゴスで開催された第5戦サンパウロでは信頼性を証明し、ラピエール組36号車が10位に入りポイントを獲得した。 WECの残りのシーズンについてラピエールは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)、富士スピードウェイ、バーレーンでのレースを問題なく乗り切ること以外に、アルピーヌに決まった目標はないと言う。 「僕たちにとって重要なのは、レースを完走し来シーズンに向けて経験を積むことだ」と彼は述べた。「僕にとってこれが第一の目標だ」 「クルマ(のパフォーマンス)がそこにあることは分かっているし、過去のイベントでもそれを見せてきた。もちろん、改善可能なところは改善してもっと良くなりたいが、一番のポイントはレースを無事に終えることだ。今はとにかく楽しんでいるし、できる限り多くの経験を積もうとしている」 「2025年は本当の目標を持つことになるから、また違ったストーリーになるだろう。今年はまだ学びのシーズンだ。このクルマは非常に競争力があるとはいえ、今年が初年度であることを忘れてはならない」 「レースごとに(ターゲットに)近づいている。そしてまだ改善の余地はある。多くのサーキットは、このマシンで訪れるのは初めてだけど、チームオペレーションは良くなっているし、トップチームに近づいている」 ラピエールはA424が最初のシーズンにもかかわらず、各トラックでの安定して走っていることに満足しているという。ル・マン以外で2台ともポイントを獲得できなかった唯一のレースである第2戦イモラだけがより難しいものだったと彼は付け加えた。 40歳となったこのフランス人ドライバーは、A424が採用しているメカクローム製V型6気筒シングルターボエンジンの修正が期待どおりに機能すれば、2025年にはより強力な挑戦ができるようになると考えている。 「これまでのところ、このクルマはどこでもかなり良い結果を出している」とラピエール。「イモラは他のトラックと比べ苦戦を強いられたが、これはパワーをマネジメントする必要があったため、どちらかというと僕たちのほうの問題だった。しかしそれ以外の場所ではA424は本当に強い」 「来年はどこへ行っても力強い結果を得られると思うよ。必要な大きなステップは信頼性であり問題なく走れるようにすることだ」 「このクルマは非常に複雑で、システムも何もかも改善する必要があるし、すべてのトリックを理解するには少し時間が掛かる。しかし今年はすでにいくつかの良いステップを踏んでいるんだ」 [オートスポーツweb 2024年08月13日]