「給食残してごめんなさい」保育園で謝らされて流した涙 「完食指導」で会食恐怖症に 交際相手と食事もできず…苦しみ続けた大学生の願い
食べる喜び、教えてほしかった
かつての自分の境遇を振り返り、保育園では自分のペースに合わせて食事をする喜びを教えてほしかったこと、小中学校の先生にはトイレに駆け込む姿から、SOSをキャッチしてほしかった―と気付いた。
「当たり前」から外れていても
大阪公立大学の伊藤嘉余子(かよこ)教授=社会福祉学=は子どもが自らの苦しみを言葉にする心理的ハードルは高く、周囲の大人が日頃の振る舞いに注意深くアンテナを張ることの大切さを指摘。「この社会に『当たり前』などないという意識を根付かせる働きかけをしてほしい」と呼びかける。 桜子さんは今、初対面の人とも食事を楽しみ、学業の合間に友人とするカフェ巡りが大好きになった。自身の体験を生かし、社会福祉の仕事に就く将来を見据えて大学院進学を目指している。「自分が『当たり前』から外れていると思っても、世界の見方を変えてくれる大人たちはきっといる」。今も苦しむ子どもたちにそうエールを送った。