箱根駅伝Stories/2年前の雪辱を期する東洋大・石田洸介 チームのために「自分の最大限の力を出し切る」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 東洋大のエントリー選手名鑑をチェック!
最終学年充実の前半戦
東洋大に頼もしい選手が帰ってきた。4年の石田洸介。その実績は華々しく、各世代の記録を塗り替えてきた逸材だ。 福岡・浅川中時代には1500mと3000mで当時の中学記録を樹立し、全中実施種目ではない5000mでも中学最高記録。群馬・東農大二高に進むと、3年時には5000mの高校記録を16年ぶりに更新している。 東洋大では1年目から駅伝で活躍。出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得し、“スーパールーキー”の呼び声に違わぬ走りをさっそく披露した。 ところが、箱根駅伝ではなかなか力通りの活躍を見せられずにいる。1年時は体調が万全ではなかったために起用されず、2年時は満を持して2区に登場したものの、区間19位と力を発揮することができなかった。チームは10位に踏みとどまり、なんとか連続シード権を確保したものの、石田には悔しさだけが残った。 「箱根駅伝で悔しい思いをして、なかなか立ち直ることができず、自分軸というものがなくなってしまったと感じました」。3年生になった石田は、陸上競技から離れ、自分自身を見つめ直す時間を設けた。 なぜ自分が走っているのか、自分は陸上で何を目指しているのか・・・・・・。競技を辞めることも考えたというが、そんな自問自答を繰り返し、日々変化する自分自身の心境と向き合った。 競技を離れていた期間は4ヵ月にも及んだ。走る気力を少しずつ取り戻した石田は、チームに戻る決断をする。仲間も言葉にはせずとも、石田の帰りを待っていた。 3年目は一度も駅伝を走ることがなかったが、仲間の走りは石田にとって大きな刺激になった。 「チームを支えてきた梅崎(蓮、現・4年)と小林(亮太、同)が、箱根駅伝で魂の込もった攻めの走りを見せてくれて、本当に感動しました。2人の走りには“このままでは絶対に終わらせない”という気迫がありました。2人の走りが、僕の心に火をつけてくれました」 そして、最終学年を迎えた石田は復活を果たす。春先からトラックレースで力走を続け、5月の関東インカレ(1部)では10000mに出場し、28分08秒29の自己ベストで6位入賞を果たした。さらに、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では3組で1着を奪う活躍を見せ、本大会出場に貢献した。 「前半シーズンは、ほぼほぼ自分の思うようにできました。一番大きかったのは関東インカレ。表彰台が見えてから6位に落ちてしまった部分は課題ですが、あの時は自分の全力を出し切ることができました」と、充実した前半戦を送った。