箱根駅伝Stories/2年前の雪辱を期する東洋大・石田洸介 チームのために「自分の最大限の力を出し切る」
久しぶりの三大駅伝「大きな一歩」
しかし、好事魔多しとはこのこと。前半戦の好調ぶりから一転して、8月に右のアキレス腱を痛めてしまい、秋を万全な状態で迎えることができなかった。 「夏は個人的には駅伝に向けたスタミナ、体力作りに取り組みたかったですし、4年生という立場もあるので、チームを引っ張っていかなければいけませんでした。でも、足が全然治らず、練習を引っ張ることもできずに、あっという間に月日が経ちました。出雲駅伝を諦めていなかったので、それに向けて何とかしなきゃいけないと思っていたのですが、それが裏目に出てしまったこともあります」 学生最後の駅伝シーズンに雪辱を期したはずが、出雲は不出場。全日本には間に合わせたが、6区21位と本来の走りからは遠かった。 「全日本は復帰して2週間程度だったので、個人的に厳しい状況ではありましたが、それを承知の上で出場しました。流れを作るような走りをしたかったのですが、うまく走ることができず、チームとしてもシード権を落としてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」。そんな悔しさを打ち明ける。 だが、苦しんだ時期が長かっただけに、今度は石田の心が簡単に折れることはなかった。「悔しかった反面、第99回箱根駅伝から1年以上駅伝に出られずにいたので、全日本大学駅伝で久しぶりに三大駅伝の舞台に立てて、自分の中では大きな一歩を踏み出せたと感じています」と、箱根に向けて前を向く。 11月下旬の時点の調子は「前半シーズンと比べるとまだまだ。60%とかそこら辺です」と自己分析。「もう一段、二段ぐらい上げていかないと、箱根はきついと思っています」と自戒する。 「本当に最後の箱根駅伝なので、どの区間に選ばれても、チームのために走りたいです。苦い思い出が残る箱根駅伝を“走って良かった”と塗り替えられるような走りをしたい。区間賞を取って納得したい気持ちもあるのですが、自分の最大限の力を出し切って“もうこれ以上走れない”というぐらいの走りができたなら、それも、自分にとっての納得のできる走りだと思います」 2年前の雪辱を期す箱根駅伝は、往路区間を希望するが、どの区間を任されようと、チームのために全力を注ぐと覚悟を決めている。 いしだ・こうすけ/2002年8月21日生まれ。福岡県遠賀町出身。福岡・浅川中→群馬・東農大二高。5000m13分34秒74、10000m28分08秒29、ハーフ1時間3分09秒
和田悟志/月刊陸上競技