ハッシュノートのトークン化米国債「USYC」、時価総額でブラックロックのBUIDLを抜く
34億ドル(約5338億円、1ドル157円換算)規模のトークン化米国債市場のランキングで政権交代があった。 rwa.xyzのデータによると、資産運用会社ハッシュノート(Hashnote)のUSYCトークンは時価総額が12億ドル(約1884億ドル)を超え、過去3カ月で5倍の規模に成長。資産運用大手ブラックロック(BlackRock)とトークン化企業セキュリタイズ(Securitize)が発行したBUIDLを抜いた。BUIDLの時価総額は4億5000万ドル(約706億5000万円)で、4月以降最大規模の商品だった。 USYCは「Hashnote International Short Duration Yield Fund」をトークンで表現したもので、同社のWebサイトによると、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)に保管されている米国政府保証証券と財務省短期証券のリバースレポ契約に投資する。 ハッシュノートの急成長は、トークン化商品を分散型金融(DeFi)アプリケーションと相互に関連付け、トークンを他の商品の構成要素として利用できるようにすること(暗号資産(仮想通貨)の用語ではコンポーザビリティ)の重要性を強調している。コンポーザビリティにより、規模を拡大し、より広く普及させることが可能になる。また、トークン化商品に裏付けられることが多くなっている、利回りを生み出すステーブルコインに対する暗号資産投資家の需要も示している。 たとえばUSYCは、新進のDeFiプロトコルであるUsualと、現実資産(RWA)を裏付けとする利回り生成型ステーブルコインUSD0の急速な成長から大きな恩恵を受けている。
Usualの戦略
Usualは、ステーブルコインの裏付け資産からの収益の一部を保有者に再配分することで、テザー(Tether)のUSDTやサークル(Circle)のUSDCのような中央集権型ステーブルコインの市場シェアを追求している。USD0は現在、主にUSYCによって裏付けられているが、プロトコルは将来、より多くの現実資産を準備金に追加することを目指している。最近ではエセナ(Ethena)が、BUIDLを裏付けにしたステーブルコイン「UStb」の追加を発表した。 「強気相場は、ステーブルコインへの大規模な流入を引き起こしたが、最大のステーブルコインには依然として根本的な問題がある。エンドユーザーへの報酬がなく、生成される利回りにもアクセスできない」とアナグラム(Anagram)のリサーチパートナー、デビッド・シャトルワース(David Shuttleworth)氏は述べたうえで「さらに、ユーザーはUSDTやUSDCを保有していても、プロトコルのエクイティにアクセスできない」と付け加えた。 「Usualの魅力は、プロトコルの所有権と利回りをユーザーに再分配することだ」 暗号資産投資家がオンチェーンでの利回りの機会を追い求めるなかで、このプロトコル、そしてそのステーブルコインUSD0は過去数カ月で13億ドル(約2041億円)を集めた。成長のもう1つの重要なきっかけは、18日に行われた、プロトコルのガバナンストークン(USUAL)のエアドロップと取引所上場だった。USUALは18日にバイナンス(Binance)で取引を開始し、CoinGeckoのデータによると、その後約50%上昇し、不安定な暗号資産市場全体を大きく上回るパフォーマンスを示した。 ブラックロックのBUIDLも今年初めに急成長を遂げた。これは、DeFiプラットフォームのオンドファイナンス(Ondo Finance)が、独自の利回り生成商品である「Ondo Short-Term US Government Treasuries (OUSG)」トークンの主な準備金としてBUIDLを採用したことが要因だ。 |翻訳・編集:廣瀬優香|画像:|原文:DeFi Protocol Usual's Surge Catapults Hashnote's Tokenized Treasury Over BlackRock's BUIDL
CoinDesk Japan 編集部