フランス、大統領は新首相探し開始-新内閣も同じ困難に直面へ
(ブルームバーグ): フランスでは野党が国民議会(下院)で内閣不信任案を可決させたことを受け、マクロン大統領は5日にも新首相探しを開始することになる。
分裂した議会で2025年の予算案を通過させることのできる首相を見つけなければならないが、新首相は予算を巡る対立から倒れたバルニエ内閣と同じ困難に直面することになる。
マクロン大統領は現地時間5日午後8時に声明を発表する予定。
バルニエ内閣を倒すことになった予算案には、今年国内総生産(GDP)の6.1%と推計される財政赤字を2025年に5%にまで削減することを目指した600億ユーロ(約9兆5000億円)の増税と歳出削減が盛り込まれていた。
極右政党・国民連合(RN)を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏は不信任投票後にフランスのテレビ局とのインタビューで「この予算案はフランス国民にとって有害だった」と述べ、「国民全員が受け入れられる予算」が必要だと語った。
5日の欧州債市場ではフランス債が上昇しドイツ債とのスプレッドが縮小した。フランス10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して2.88%。仏独の10年債スプレッドは一時4bp縮小して80bpと、11月25日以来の低水準となった。
9月に就任したバルニエ首相の在任期間は約2カ月半と、1958年の第5共和制成立以降で最短となった。
マクロン大統領は新首相を任命する権限があるが、議会が分裂している中でバルニエ氏への限定的な支持を得るのにも長く苦戦した。ルペン氏は、予算案の策定段階でRNと協議することを前提に、次の内閣と協力する用意があると述べている。
フランス大統領は首相を任命する全責任を負うが、任命するまでの期限は憲法で定められていない。マクロン氏がバルニエ氏に決定するまでに約2カ月を要した。
新首相は閣僚を提案し、組閣後に新内閣は新たな予算案を議会に提出しなければならない。
マクロン氏の同盟勢力は社会党に、左派連合から離脱し主流政党によるいわゆる共和戦線を再構築するよう説得しようとしているもようだ。